「今の防水業界がこれでいいのか」「いい仕事をすること、社会的貢献をすることと、防水工事で利益をあげることは両立すべきだ」と考えるあなたに!

2011年 4月3日 号(№41)

2011年 4月3日 号(№41) 新月

2011年 卯月うづき 平成23年、昭和86年、大正100年、明治144年

画像の説明画像の説明

「燃える土」がアスファルトであることを明示してくれた本

本邦油田興亡史

長 誠次 著「本邦油田興亡史」
日本の石油史を考察する上で最も重要な文献は、大正3年日本石油が東京移転に際して、また東京大正博覧会にあたって刊行した「日本石油史」だろう。さらに大正6年には「縮刷版日本石油史」が創立30周年を記念して発行された。
長 誠次さんはその「日本石油史」編纂の最中、日本石油に入社した。…
>>続きを読む

よく隠れし者は、よく生きたり!

紺野大介・清華大招聘教授の雑誌『選択』への連載終了。

吉田松陰

紺野大介氏は「最後にラテン語の諺を示し筆を擱(お)くこととしたい」と足掛け5年、50回の連載を終えました。
紺野大介教授のサムライスピリットに感化され、ルーフネット編集部の2台のパソコンの壁紙は吉田松陰と橋本左内です。毎日何度も顔を合わせます。震災ニュース、原発事故、リビアの戦い、経済破綻、領土、教育、音楽などさまざまな情報。それらがどうなっているか、気になって1日に何度となくパソコンを開く度に…>>続きを読む

五つ団子「天神さんがついてます、がんばってください」と、上七軒よりメッセージ

義援金

東北関東大震災チャリティー「北野をどり」
ルーフネットのコラボサイト「お初の上七軒だより」の左千夫さんから、「皆さんには天神さんがついてます、がんばってください」とのメッセージをいただきました。>>全文を読む

絵日記

画像の説明

新着ニュース

2011/04/01 日石社史にみる日本石油史new
2011/03/31 田中先生、退官最終日も一人で実験new
2011/03/26 「路上のうた」 ホームレス 住まいの川柳 雨の巻new
2011/03/26 防水の目的は雨漏り防止だけじゃない
2011/03/25 よく隠れし者は、よく生きたり!
2011/03/22 「燃える土」がアスファルトであることを明示してくれた本
2011/03/21 まさに 花の宝石 「ヒスイカズラ」をどうぞ
2011/03/20 現存する「超サステナブル建築」から読み取る条件
2011/03/20 「天神さんがついてます、がんばってください」と、上七軒よりメッセージ
2011/03/19 「大震災でも売れ行きは変わりません」
2011/03/16 先生 これからは?
2011/03/15 コルビジェが目指した船と建築 大震災で期待の対談は延期
2011/03/14 「1000年もたせる」って、どういう事?
2011/03/08 琵琶湖水路閣改修調査検討委員会石田委員長のお気に入り
2011/03/04 ルーフネットの重点項目「躯体保護と防水」とは
2011/03/02 なぜ防水メーカーがソーラーシステムを販売するか?
2011/03/01 ウレタン防水材出荷量5万トンに迫る勢い
2011/02/28 クリーン作戦で日本橋はピカピカ。ところでひび割れ対策は?
2011/02/26 トンネル漏水問題を考えるシンポジウム
2011/02/25 「小柴昌俊科学教育賞」と「子どもしぜん科学大賞」のとても深い関係について
2011/02/25 屋上緑化で平成の平賀源内に学びます
2011/02/20 詩になったアスファルト ~~瀝青の鏡~~
2011/02/19 コルビジェとノアの方舟と防水
2011/02/17 「水コンペ」の受賞作品をじっくり見て、来年は100万円獲得を目指せ!
2011/02/17 私たちが作りました。ドライバー40の物語。
2011/02/16 「日本アスファルト物語」後書き、年表、奥付け
2011/02/14 「日本アスファルト物語」の前書きと目次
2011/02/13 火災の消火で漏水どころか天井まで落ちてきた・続
2011/02/12 南禅寺を貫く琵琶湖疏水水路閣のひび割れからの漏水によるつらら
2011/02/10 火災の消火で漏水どころか天井まで落ちてきた
 :
以前の更新情報はこちらをクリック!


ルーフネットの重点項目「躯体保護と防水」とは

超サステナブル建築と防水 ④

百年・二百年建築、千年建築の「防水」をどうする?
~Dr.田中享ニの「躯体保護と防水」セミナー~

特別限定酒「享の宴」を囲む
東京工業大学最終講義後の謝恩会にて。この日のために醸した「享の宴」を囲んで。

ウェブマガジン「ルーフネット№41.4月3日号」、をアップするのは3月26日。週刊誌と同じように、次回の発行日をつけた号が、当月最新号です。発行の日付けが変だというご指摘がありますが、これはある規則にのっとっています。ルーフネットは月のフェイズにあわせて発行されます。新装第1号は2010年6月12日発行の「新月号」でした。2号は上限の月号、そして満月号、下限の月号と続きます。ほぼ7日おきの発行ですが、月4回とは限りません。
次号「新月号」の締め切りが近いので、今朝、田中享二教室の様子を聞くために電話してみました。先生は、今月中に研究室を引き払うために、学生たちと大掃除の真っ最中。最終講義や謝恩会、懇親会で撮りまくった写真は、改めて人形町の事務所に届ける約束をして電話を切りました。

今回の田中教室「超サステナブル建築と防水」編は4回目。話題はメインイベント「防水の目的は雨漏り防止だけじゃない」です。

※田中享二東京工業大学教授が、全国アロンコート・アロンウォール防水工事業協同組合総会(2010年8月27日、品川プリンスホテル)で行った特別講演「超サステナブル建築と防水」の記録を5回に分けてご紹介しています。

以上

防水の目的は雨漏り防止だけじゃない

 次に構法面です。主として屋根、床、壁に関わる話です。当然、その中には、防雨・防水の技術があります。

防雨防水は雨漏れ防止以外にも大切な役割


建物保護により長寿命化を担保

 実は、防雨・防水の技術というのは、最近、私はいろいろなところでお話しさせてもらう機会が多いのですが、雨漏り以外に大切な役割があると説明しています。本当のことを言うと、多分そっちのほうが重要なのですが、建物の耐久性を担保するためには、実は防雨・防水が頑張らなければなりません。

スライド34

これは、私が説明に良く使う閑谷(しずたに)学校です。

スライド35

 閑谷学校の屋根は、こういう三層の屋根構造を持っています。もちろん、これはつくっていく過程の中でこうなってしまった、というところもあるのですが。建物で雨を完全に止めようとすると、日本の建物の場合、一層だけでは止めきれない。やはりフェールセーフの仕組みが非常に必要だということで、結果として三層の屋根構造になっている、という例であります。
 私も防水の関係で国際会議によく行きますが、会議に合わせて、防水の研究者が特別に1日だけ集まって、別途研究会を持ちます。もう何十年も続いています。最近の研究会の課題が、「フェールセーフシステムの屋根防水の仕組み」であります。
 わかりやすく言うと、防水層一層だと、万が一、何かあったらどうしようもなくなる。だから、何かの時のためにバックアップが必要なのではないか。これからは屋根設計も防水設計も、そういうことを考えていかなければならないのではないか、というのが、毎年1回集まっている研究会の課題です。
 でも、日本の閑谷学校は、既にフェールセーフの元祖みたいなことをやっています。三重の屋根ですから。この事を会議で説明したら、本当に感動してくれました。日本の棟梁というのは、建築の耐久性に関して非常に強い関心を持っていたと改めて思うわけであります。
 結局、日本の木造建築は何で長もちしたかというと、これはデザインと全く関係するのですが、個人的には次の3点セットが必要と考えています。

長寿命化のための伝統木造建築の3点セット

・勾配屋根

・深い軒の出

・高い床

 1つは勾配屋根、2つ目は深い軒の出、3つ目は高い床です。この3つが揃いますと、伝統的な日本の建物になります。

スライド37

 これが先の3点セットの例です。まず勾配屋根です。このことによって、雨水の停留を避け、雨水をできるだけ早く建物から離すことを、行っているわけであります。
 2つ目は、深い軒の出であります。柱や梁の木材に雨だ当たると、それらの劣化が早くなるからです。壁に紙を使っているのも関係しているかもしれません。すべての建物の主要構造体に水を触らせないための努力です。
 3つ目が、高い床です。こうすることによって建物の下の風通しをよくして、それで建物を乾燥状態にする。つまり、昔の江戸の棟梁は何を考えていたかというと、建物を絶えず気乾状態に置くということであります。
 木材は、気乾状態ですと、建物の含水率を15%以下に抑えることができます。そうすると、腐朽菌の繁殖を防ぐことができます。
 先ほど申し上げましたように、私は日本の木造建築の耐久性をずっと調べまして、その結論がこの3点セットであります。
 結局日本は木しかありませんでしたので、いまは木造のことをお話ししましたが、実は、すべての建築材料は水が本当に嫌いです。

何故、防雨が建物長寿命化の鍵なのか

すべての建築材料は水が苦手である。

b建築材料が土ですと水に溶けます。木材は腐ります。鉄は錆びます。コンクリートは水に強いのですが、寒冷地に入りますと凍害を受けます。ですから、北海道の場合は、やはり鉄筋の建物は水からできるだけ離してやるのが重要なポイントであります。

土 … 崩壊 融ける。

木材 … 腐朽 くさる。

鋼材 … 腐食 さびる。

コンクリート … 凍害 割れる。

鉄筋コンクリート … コンクリート : 中性化する。

                 鉄筋 : さびる。

 それから鉄筋コンクリートですと、中性化の問題があります。ほどよい水分状態で中性化が非常に早くなります。カラカラに乾燥してやるか、水に浸けておくとすごくゆっくりですが、ほどほどのところで中性化は早くなります。そういう意味で、水分が関係しています。
 それから、何かの拍子でひび割れたりしますと、もう水が直接中にはいりますので、鉄筋が錆びます。
 そういうことで、少なくとも現在われわれが使う建築材料は、すべて水が苦手です。できれば水にタッチしなければいい、ということであります。
 私は8月上旬に、マリ共和国のジェネというところを訪ねてまいりました。マリ共和国はサハラ砂漠の南にあります。

スライド40

 ジェネはモスクが有名で、そこは世界遺産として残されています。これはジェネの町並みの写真です。見てわかりますように、日干し煉瓦でつくられて、その上から泥でコーティングされています。5月から10月にかけては雨季です。そうすると、建物の外側からだんだん溶けてくる、ということです。
 ときどき飛び出しているのはドレンであります。これを見て、「ああ、やはり日干し煉瓦というのは溶けてなくなるんだな」ということを実感しました。ドレンがなければ、屋根に降った雨が直接、壁を流れるからです。
 大学の建築材料の授業では、コンクリートは、例えばいろいろな形ができるとか、燃えないとかと言いますが、これを見て一番感じたのは、「コンクリートの一番の特徴は、水に溶けないということだ」と強く思いました。
 普通の人は、毎年1年に1回この土壁を塗りかえるのですが、お金のない人はそうはいきません。私を案内してくれたガイドの方は地元の人でしたが、その方の屋上に登らせてもらって写真を撮らせてもらったのですけれど、「自分はお金がないので、2年に一遍しかできませんでした」と言っていました。
 土は溶けるということがすごく問題だと、ひしひしと感じました。

スライド41

 北海道ではどうかと言うと、これは私の先輩の長谷川先生からいただいた写真です。冬にベランダに雪がたまります。ベランダは南を向いているので、昼間は溶けてしまいます。当時はベランダ防水をしていませんので、コンクリートの中に入り込みます。そして夜間に凍結、昼間に融解を繰り返して、こんな状態で劣化してくる、という例であります。やはりコンクリートだって水は嫌いです。

スライド42

 これは私の大学で撮影したものです。最近やっと補修してくれましたが、この状態がかなり長く続いておりました。鉄筋が腐食しております。これは主筋ではありませんから、建物がすぐ壊れるというわけではないのですが、怖い状況です。これでも被り厚さをはかりますと、4センチ以上は楽にありました。写真で見ると、施工が悪いように見えるかもしれませんが、多分それは問題ないと思います。それでも表面から水分が入っていって、中の鉄筋を腐食させ、コンクリートを押し出しています。

続く


「BOUSUIデジタルアーカイブ」防水歴史図書館

画像の説明

我が国の防水の歴史を考察する上でどうしても欠かすことのできない文献が何冊かあります。
防水歴史図書館(BOUSUIデジタルアーカイブ)では、そんな文献を1冊ずつ選び、本が書かれた当時の様子、おもな内容、その本のどこが「すごい」のか、現在生きる人たちにとって、どんな価値があるのか、それぞれの資料を担当するキュレーターが、時には執筆関係者への取材を交えて、分かりやすく解説します。

  • 主な収録項目

本サイトの内容の無断転載、および無断利用を禁じます。

powered by Quick Homepage Maker 4.8
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional