「今の防水業界がこれでいいのか」「いい仕事をすること、社会的貢献をすることと、防水工事で利益をあげることは両立すべきだ」と考えるあなたに!

2011年 3月26日 号(№40)

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2011年 弥生やよい 平成23年、昭和86年、大正100年、明治144年

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先生 これからは?

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建築材料・防水研究の第一人者 東京工業大学田中享二 教授の退官に当たって、最終講義と謝恩会が3月9日、東京工業大学すずかけ台キャンパスのすずかけホールで行われた。
当日講義の始まりは、田中先生が北大に入ったきっかけ、ダム建設現場のアルバイト、修士時代、北大での小池迪夫(みちお)先生との出会い、助手として東工大に来た経緯、…そして研究への取り組み。いつもの、わかり易く、偉ぶらない、にじみ出るユーモア。世界初という研究成果や研究への取り組みの姿勢を、防水材料・技術・工事に関わる人たちに伝える慈愛に満ちた話でした。>>全文を読む

コルビジェが目指した船と建築 大震災で期待の対談は延期

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「コルビジェの船」対談は延期
「近代建築の巨匠ル・コルビジェ(1887-1965)をはじめとする建築家たちにとって、かつて船は機能性・合理性の象徴であって、建築が目指すべき規範として認識されていた」として横浜・日本郵船歴史博物館で開催されている展示会です。企画者の狙いは成功して、好評のようです…>>全文を読む

「大震災でも売れ行きは変わりません」

ビッグイッシュー

注目は、①椎名林檎を愛する「クールビューティー&クレイジー」栗山千明と②恐るべき手話の力
ビッグイシュー3月15日号特集は「輝く指先ー手話の世界を知る」新宿にて
確かに全く理解していませんでした。
手話の起源は音声言語と同じだけ古く、日本語とは全く別の文法を持った、豊かな表現力を持った「自然言語」であったとは!
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絵日記

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ルーフネットの重点項目「躯体保護と防水」とは

超サステナブル建築と防水 ③

百年・二百年建築、千年建築の「防水」をどうする?
~Dr.田中享ニの「躯体保護と防水」セミナー~
建物の耐震性向上と長寿命化の超密接な関係

今回は、長寿命化建築の条件、地震・耐震性の話です。

阪神淡路大震災の経験を経て、日本中の建築界、特に構造エンジニアは地震でも大丈夫な耐震性向上に総力を挙げました。その結果は、今回の大地震にも反映されています。

構造エンジニアは、「どうだ、俺の設計した建物は、こんなにすごい地震でも大丈夫だったぞ、といいたい」ところがそんな大地震は数百年に1回しか来ない(きてしまいましたが)。だからその建物の耐震性を証明するには、地震に遭遇するまで長持ちしなくてはならない。
地震の来る前に、耐久性の問題から20年や30年で壊されてしまえば、努力が無駄になってしまう。耐震性と長寿命は一見似たような概念で、重なる部分もありますが、実は違う。
われわれ、建物の長寿命化作戦に関わる防水関係者は、構造技術者に対して「あなたの建物の耐震性のすばらしさを証明するために、建物は長寿命」でなければならない。と説明すればよいのです。ではどうぞ。

現存する「超サステナブル建築」から読み取る条件

伝統的建築から読み取ることができる長寿命化建築の条件

(1) 劣化に耐えること

(2) 位相差にたえること

 こういう研究からわかってきたことが幾つかあります。それが冒頭申し上げたことと重なるわけです。
 ひとつ目は、建物そのものが物理的存在として長く残っていることが重要です。2つ目は、位相差に耐えたということです。この2つの条件を満足しなければ、取り壊される確率が圧倒的に高くなるわけです。
 このことに対して、どうやって対処するかということが、次の段階として考えなければならないことです。

(1) 劣化に耐えること
 ・災害に強い、火事に強い。
  (この中には敷地が広いということも含める。)
 ・材料に耐久性がある。
 ・水分の浸入から防御されている。
 ・管理者がいる。
 ・維持管理手法が確立し、それが実行されている。

 それでは、劣化に耐えるということは、どういう条件が揃わなければならないかです。まずは、やはり災害に強いということです。劣化というと、ただ屋外の気象にさらされるだけと思うかもしれませんが、建物が数世紀長もちするためには、当然地震等の災害にも耐えることが重要であります。
 そういう意味で、地震に強い、火に強いことは重要な条件になります。その他、実際に現地に行ってのヒヤリングの結果では、関東大震災のときに、延焼されなくて残ったという例が結構あり、敷地が広いというのも、大きな条件です。
 あとは当たり前ですが、材料に耐久性があり、水分の浸入から防御されているということです。この辺は防水と関係すると思います。それから、きちっとした管理者がおり、維持管理手法が確立していて、それが確実に実行されていることです。こういう条件が揃うと、建物は物理的に頑張ります。作った建物が、数世紀にわたって残り続けることが可能になるわけであります。そういうことが技術的に担保されているかどうかが重要です。
 日本の木造の建築の場合、それを担保するような技術が揃っております。昨年、京都下鴨神社の本殿の中には1年に1回しか入れてもらえないのですけれど、たまたま拝観日で、内部に入ることができました。そこで、見ましたのは、木材は小口が非常に弱点ですので、小口のところは徹底的にカバーされていることでした。このカバーと意匠とが1セットになっているのが、日本の建築の巧みなところだと思います。擬宝珠のところも、この垂木の鼻先のところも、みんな普通で見たら飾りですが、耐久性から見ると、これは小口保護になっています。
 ですから、建物の木造を長もちさせることに関しては、非常に細心の注意が払われています。木材の小口を露出しているところは、下鴨神社本殿には、ほとんどないくらいということです。
 次は柱です。柱はどうしても下からの水分で腐ります。これも日本の伝統的な建築は、腐ったところだけ取りかえる「金輪継ぎ」という技術が完成しています。
 木造建築で言うと、こういう交換の技術、水から守る技術が、少なくとも数千年にわたってずっと開発されてきて、それが技術として伝わってきています。
 ですから、数世紀にわたる木造建築がたくさんあっても何もおかしなことはない、ということです。木造の建築について言うと、少なくとも棟梁の水準では、日本人は長寿命化技術を持っていた、ということであります。
 次は、2番目の位相差についてです。

(2) 位相差にたえること

 ・残したい建物 … 位相差を超越する建物

   宗教建築 … 永続性
   城郭 … モニュメント性

 ・用途変更や性能向上がなされる。
  位相差をなくする。(時代の要求に合わせる。)

 先ほどの調査の結果わかったことは、宗教建築、城郭の類は非常に長いものが多いです。なぜかというと、これらは残したい建物だからです。宗教建築では宗教の永久性というものが宗教建築を長くもたせる、という大きなドライビングフォースになっているのだと思います。また、お城は城下に住んでいる人には安心感を与え、また誇りを持たせるものであります。こういう建物は、生まれながらにして位相差を超越するものをもっています。
 ちょっと雑談になりますが、ことし4月に、姫路城を見させていただきました。そのとき、地元の方が案内してくださったのですが、その中のお年寄りのお話では、第二次世界大戦のときに爆撃を受けて、焼夷弾か何かが1発建物の中に入ったけれど、それが不発だったそうです。結局、焼かれずに済んだらしいのですが、姫路の町はみんな焼かれたけれども、姫路城だけが建っているのを見て、みんなすごく元気づけられたと、おっしゃっていました。「姫路城は不思議な強い運に守られている。」と言われましたが、姫路城はやはり残したい建物の№1なのだとつくづく感じました。残したいものは残るということです。
 それ以外の普通の建物は、実際にはそういう建物がほとんどなのですが、位相差をなくす努力が必要です。つまり、時代の要求に合わせて建物がどんどん変わっていけるということです。そのためには、我々が調べた範囲で言うと、用途変更、また最近の建築の技術で言いますと、耐震補強とか、いろいろな空調設備を入れるとかで性能向上がなされています。いろいろな意味で、建物はタフでなければならないと思います。
 ですからサステナブルを考えるためには、まず技術が必要です。

サステナブル化技術

(1) 100年オーダーを意識したサステナブル化技術

(2) 1000年オーダーを意識したサステナブル化技術

 サステナブル技術は、研究会で議論しましたが、時間の長さによって技術の仕組みそのものが違います。そのため、これを二つに分けて考えてみました。
 先ほど言いましたように、耐久性は対数目盛の話ですので、100年のオーダーと1000年のオーダーで検討しました。
 最初は、100年のオーダーのサステナブル技術についてです。

(1) 100年オーダーのサステナブル化技術

a. 設計の面
b. 構造の面
c. 構法の面
d. 材料
e. メンテナンス

 これを設計、構造、構法、材料、メンテナンスの5つのカテゴリーか調べた結果、実は100年オーダーのサステナブル技術というのは、今の時点で結構揃っていることがわかりました。

a. 設計の面

ライフサイクルコーディネーション : 全く同じ形態の長寿命化

SI建築 : 平面等の変更を許容しての長寿命化

 まず設計の面では、サステナブルを支える設計コンセプトがどんどんつくられています。
 例えば、ライフサイクルコーディネーションという考え方があります。これは建物の部位、部品の交換をハーモナイズ(調和)させてつくっていこうという考え方です。

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*注
カーテン : 2~4年
家具・内装 : 8年
建具・内装/建築設備/通信設備 : 16年
準躯体(外装・階段・屋根) : 16~32年
躯体 : 32年~64年(鉄塔:32年)
土地 : 無限大

 これは、ライフサイクルコーディネーションの中で私が一番好きなもので、NTTのアイデアですが、授業でもよくこれを紹介させてもらっています。NTTのどなたの発案かはわからないのですが、建物の構成要素のライフサイクルを2のべき乗で整理するという考え方です。
 それで、躯体は2の5~6乗、ざっくり言うと64年です。階段とか屋根はその半分、設備とか通信設備はその半分、家具ですとさらにその半分、カーテンだと2年か4年くらいということです。NTTですので通信設備がありますから、これは32年ということです。
 つまり2のべき乗であらわしますから、躯体が64年もつとすると、準躯体はその中で1回取りかえればいい、それから設備は4回取りかえればいい、ということが簡単にわかります。
 2のべき乗をベースとして、これをうまくハーモナイズさせてつくるということです。実際にこの通りやっているわけではないと思いますが、全建物のライフを評価する時、いつどのくらい費用が掛かるかということが簡単にわかる仕組みです。
 これのどこが何が一番気に入ったかと言いますと、土地が2の無限大と書いてある、このセンスのよさが非常に好きです。非常にわかりやすい説明だと思います。

SI建築

ストラクチャー → ライフの長いもの
インフィル → 必要に応じて交換

ライフに合わせてインフィルを交換することにより耐用性を長くする。
特に住宅に有効なため「SI住宅」と呼ばれることが多い。

 それから、最近出ているコンセプトでは、SI建築があります。ストラクチャー、すなわち柱とか梁とかという建物の本体は、100年とか200年もたせる。そして社会的要求あるいは経済的要求によって、建物の中は変わる可能性がある。その位相差に耐え得るための対応として、骨組みはライフを長くし、間仕切りとかは必要に応じて変えられるという建物です。これは、ストラクチャーとインフィルの頭文字をとって、「SI住宅」と言われることが多いのですが、こういうことを工夫することによって、先ほど言いましたサービサビリティを長くする、という設計の概念が出てきています。
 特に超高層の場合には、そんなに簡単に壊したりすることはできませんので、100年以上のライフの躯体を作り、インフィルはフレキシブルにする、ということであります。

b. 構造の面から

 次は、構造の面から見たらどうかということです。
 私のいる建築物理研究センターは、構造の先生も何人かいらっしゃいまして、一緒に仕事をさせてもらっているのですが、耐久性の話をしますと、構造の人は反応が非常によくて、「あっ、そうだね」とすぐ理解してくれます。どうしてそのことをすぐわかってくれるかというと、実はこういう理由があるからです。
 先般の阪神淡路の大地震で、やはり構造を強くしなければいけないということで、日本中の構造のエンジニアの方々は、いま耐震性向上に総力を挙げているところであります。
 耐震性を上げることの意味はどういうことかといいますと、大きい地震は何百年かに1回くらいしか来ません。そうすると、建物を設計したとき、耐震性をせっかく上げても、それが耐久性の問題により30年で壊されてしまうとしたら、設計者は、その間、地震に遭遇する可能性は低いですから努力が全く無駄になってしまう可能性があります。
 そうすると、自分の構造設計した建物は、100年とか200年くらいもって、それで大地震が来て、「さあどうだ。地震でも絶対大丈夫だったぞ」と、構造エンジニアの人は言いたいわけです。
 大きい地震は100年とか200年とか300年とかに1回しか来ない地震です。そうすると、長寿命化しなければ意味がなくなるわけです。ですから耐震性能を上げることと、建物の耐久性を長くすることとは、リンクしているわけです。

スライド30

 そういうことのために、構造の先生は、耐久性に対してすぐ反応してくれます。ですから、構造の人はみんな「耐久性はできるだけ長く」と考えてくれているわけです。
 そういう意味で、耐震性能の向上は、サステナブル技術を支えるための大事な技術要素であります。

耐震性向上の技術

サステナブル化技術の大事な要素

 皆さまもこれからはこういう視点で、耐久性のことを構造エンジニアの人に少し説明してあげてほしいと思います。

C. 構法の面から、:防雨・防水の技術

 次に構法面です。主として屋根、床、壁に関わる話です。当然、その中には、防雨・防水の技術があります。

防雨防水は雨漏れ防止以外にも大切な役割


建物保護により長寿命化を担保

 実は、防雨・防水の技術というのは、最近、私がいろいろなところでお話しさせてもらう機会が多いのですが、雨漏り以外に大切な役割があると説明しています。本当のことを言うと、多分そっちのほうが重要なのですが、建物の耐久性を担保するためには、実は防雨・防水が頑張らなければなりません。

続く


「BOUSUIデジタルアーカイブ」防水歴史図書館

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我が国の防水の歴史を考察する上でどうしても欠かすことのできない文献が何冊かあります。
防水歴史図書館(BOUSUIデジタルアーカイブ)では、そんな文献を1冊ずつ選び、本が書かれた当時の様子、おもな内容、その本のどこが「すごい」のか、現在生きる人たちにとって、どんな価値があるのか、それぞれの資料を担当するキュレーターが、時には執筆関係者への取材を交えて、分かりやすく解説します。

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