「今の防水業界がこれでいいのか」「いい仕事をすること、社会的貢献をすることと、防水工事で利益をあげることは両立すべきだ」と考えるあなたに!

2013年3月20日 号(№138)

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2013年 弥生やよい 平成25年、昭和88年、大正102年、明治146年

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住宅・建築物省エネ改修等緊急推進事業応募は13日(水)まで

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住宅・建築物省エネ改修等緊急推進事業の提案募集
2月26日の平成24年度補正予算成立を受けて始まった「住宅・建築物省エネ改修等緊急推進事業」の応募受付の締切が3月13日(水曜)に迫っている。質問の受付締切は11日(月曜)だ。
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大プロジェクト・淀橋浄水場の土木防水は明治41年末か

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淀橋浄水場史
アスファルトの歴史に関する古典的資料、村岡坦著「アスファルト」に掲載されている東京市水道沈殿池のアスファルト塗布の写真。>>つづきを読む

民家研究における伊藤ていじの位置

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二川民家写真のコラボ相手・伊藤ていじの立ち位置
土本俊和氏がパナソニック汐留ミュージアムで講演。
日本の民家研究のなかで、実証的、芸術的、思想的な側面で独自の体系を築いた建築史家・伊藤ていじ。その再評価を2月23日(土)13:30~15:00土本俊和さん(信州大学工学部教授)が同ミュージアムの講演会で試みた。>>つづきを読む

絵日記

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銅板屋根職人は光の魔術師

連載6回目 銅板屋根とともに(下)
シャボン玉の光干渉膜で金色の屋根がつくれるか

光干渉

丹銅や金箔ならまだしも、30ミクロンの金をクラッド、光干渉膜、インクララック…と言った単語が、会話の中に次々あらわれると、「えっ!あなたはいったい何屋さん?」という気分になります。実はこれは銅板による屋根工事の話です。

ピカピカの東京駅ドーム

ピカピカの東京駅ドーム。もちろん自然の緑青による発色を待って、彩色のための処理はしていません。2011年9月26日撮影。現在では落ち着いた10円玉の色ですね。

※ ※ ※

銅板屋根は時間の経過で、自然に緑青によって緑になりますが、最初から緑が欲しい、と言うせっかちな施主のためには人口緑青の技術を使います。これはペンキを塗るわけではありません。塩化亜鉛による表面処理です、金色にして欲しいと言う要求もあります。そんな時は光干渉現象を応用できるかも。

自然界ではシャボン玉、蝶の羽、貝殻などがそうです。燐片の形状をした微粒子顔料を素材にした光干渉顔料による光干渉効果で、薄く、平滑で、鏡面の様に高反射膜が形成され、見る角度により、金色から青、赤まで明るく高彩度な発色を実現します。

またインクララック塗装とは、銅合金の酸化を防ぐ為に国際銅研究会(INCRA)が開発した変色抑制剤(ベンゾトリアゾール)含有の透明クリヤー塗料がインクララッククリヤーです。

山奥の村で木を割って、木羽葺きから屋根葺きの仕事を始めた斉木さんの「銅板屋根とともに」、今回は金色の屋根、太閤さんの大阪城の屋根の話です。

銅板屋根とともに(下) その③

丹銅を屋根に納める

崇教真光世界総本山

この他にも幾つか思いで深い建物があります。まず、岐阜の高山にある崇教真光世界総本山。これは屋根を黄金色にしなければいけませんでした。最初に考えたのが銅板の光干渉で金色に見せる方法で、これはなかなか良い色が出ました。しかし、ハンダ付けをしようと塩酸をチョッとでも垂らすと、光干渉膜が流れてしまい使えませんでした。次は真鍮板。これは思うような色がない。金めっき… 銅板に30 ミクロンの金をクラッドすること… まで考えました。

最終的にはある業者さんから提案のあった丹銅に決まったのですが、それからが大変。丹銅は銅が90% 、亜鉛が10% の合金です。ただでさえ、銅は伸縮により問題が出やすい素材なのにさらに亜鉛が加わるのですから、もっと伸縮の影響が大きくなると考えられました。

どう対策を取ろうかずっと考えていたのですが、夜中に眼が覚めて「木羽葺き形式にしちゃえ」という考えが浮かんだのです。はぜを付けずに重ね葺きにすれば、伸縮は逃げられますからね。縦はぜを組むと伸縮の影響が出ますから、はぜを付けずに働き幅の1/2 の600 で重ねていく方法です。二重葺きですから1 寸勾配でも漏りません。この辺りは昔の木羽葺きの経験が生きたのかもしれません(笑)。

単に平板を重ねると毛細管現象で水を吸い込みますから、屋根板にさざ波をつけました。実験したら50mm 程度しか吸い込みませんでした。単に板を重ねた方法ですから、他にも実験で色々と確認をしました。-28℃の冷凍庫での凍結実験、風洞実験などできる研究は全てやりました。谷どいも幅が2m ありましたので、0.6mm の銅板で巻きはぜを組んで裏ハンダをしています。板も直角に折ったら絶対ダメですから、単管パイプで治具を作って折らせました。

丹銅は亜鉛が人っていますから色が変わりやすいのです。銅よりも緑青が出ます。このため、何とか色が変わらない方法も考えなければいけませんでした。最終的にインクララック塗装を施すことにしました。これはある錺工事( ナカノ)さんがやった栃木県の知事公舎の屋根を見て決めました。

インクララックは塗膜の密着が良く銅板には最高に良い塗装ですが、塗膜がすごく硬く曲げると割れてしまいます。このため屋根材の成型と塗装を2 度に分けて行いました。1 度成型したものを塗装工場で塗装し、再度成型してまた塗装しています。

古い銅板を再使用する

大阪城

大阪城の改修工事は別の意味で苦労しました。これは新しく何かを考えてやるというものではなく、昔の銅板をそのまま使うという仕事でした。屋根に使われていた銅板は0.6mm 程度のもので、再使用でききるかどうかを1 枚剥がして調べたのですが、数ミクロン位しか減っていませんでした。充分再使用できる状態で、実際90% 程度は再使用しました。新しいもので葺いたのは1 割程度… ということで改修を始めたのですが、これが何とも(笑)。

例えば、銅板の緑青色は大阪城のシンボルということで残さなければいけませんでした。ところが鳩の糞が相当付着しており、これをきれいにする必要がありました。工業用の掃除機で吸い取れば、鳩の糞など簡単に取れます。しかし、緑青まで剥がれてしまう。それじゃダメというので、家庭用の掃除機で1 枚、1 枚やりました。使われていた屋根材は銅瓦といって1 枚の大きさが瓦程度のものです。それが約5 万5 千枚ありました。これを全て剥がして、清掃したものを叩いて直して再使用しています。

錺金物の金箔も1000 枚で30g という特別なものを使っています。金箔は普通、1000 枚で28g が最上品といわれており、ここで使ったのは特別な業者しか作れない金箔でした。墨も大変良いものを使い、日本酒を使って擦っています。日本酒を使うと水で擦るよりも、艶が良くなるそうです(笑)。

日本金属屋根協会機関誌「施工と管理」より転載

(つづく)

2013/03/12(火) 00:44:24|屋根|


「BOUSUIデジタルアーカイブ」防水歴史図書館

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我が国の防水の歴史を考察する上でどうしても欠かすことのできない文献が何冊かあります。
防水歴史図書館(BOUSUIデジタルアーカイブ)では、そんな文献を1冊ずつ選び、本が書かれた当時の様子、おもな内容、その本のどこが「すごい」のか、現在生きる人たちにとって、どんな価値があるのか、それぞれの資料を担当するキュレーターが、時には執筆関係者への取材を交えて、分かりやすく解説します。

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