「今の防水業界がこれでいいのか」「いい仕事をすること、社会的貢献をすることと、防水工事で利益をあげることは両立すべきだ」と考えるあなたに!

2011年7月15日号(№55)

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2011年 文月ふみづき 平成23年、昭和86年、大正100年、明治144年

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行ってきま~す。近江神宮燃水祭

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本日、「7月7日燃水祭斎行」防水業界からも初参加します
近江神宮公式ホームページにこう書かれています。『日本最初の石油の記録は、1340年をさかのぼる、天智天皇の御代のことした。正月3日、新都大津宮において、御即位の式典を厳修せられた天智天皇7年(668年)の7月のことでした。…』>>つづきを読む

夏休みは建築学会大会を楽しもう

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今年の建築学会大会は東京です。
会場は、防水研究で田中享二先生が後を託した輿石教授の早稲田大学です。
2011年度日本建築学会大会は、8月23日から、早稲田大学・早稲田キャンパスを主会場に行われます。関東では2006年度の神奈川大学以来、5年振りとなります。>>全文を読む

黒川村郷土伝習館の「燃土燃水献上図」ジオラマについて

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胎内市(旧黒川村)教育委員会からのお知らせ
防水の起源を伝えるジオラマ
小堀鞆音が画いた「燃土燃水献上図」を元にした精密なジオラマが、新潟県胎内市下赤谷の「黒川郷土文化伝習館」に展示されています。>>つづきを読む

黒川燃水祭に防水業界からも初参加-速報-

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「天智天皇にアスファルトと石油を献上」という日本書紀の記載を再現し、新潟県胎内市(旧黒川村)で燃水祭
鮮やかな黒川燃水祭献上行列出発。
日本最古の原油献上地といわれる黒川(旧黒川村、現在胎内市)シンクルトン公園内の、「坪」と呼ばれる石油湧出地から燃える水を採油し、燃える土とともに、天智天皇を祀る滋賀県近江神宮に向けて献上行列が出発する。>>つづきを読む

桧皮葺模型 その3(原寸大編)

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「近江神宮の後、是非お立ち寄りくださいませ」三井寺
近江神宮から山沿いに徒歩15分、三井寺の仁王門をくぐって右手、重文の釈迦堂。行商のおばちゃんたちが10人、あがりこんで、情報交換していた。この屋根は修理を終えたばかり。さらに奥には国宝の本堂である金堂が控えている。>>全文を読む

絵日記

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新着ニュース

2011/07/13 防水の起源を現した歴史画「小堀鞆音・燃土燃水献上図」再発見!new
2011/07/12 8月23日建築学会大会「防水関連」発表スケジュールnew
2011/07/11 燃える土・水献上new
2011/07/10 日本書紀を奉唱する石油と防水のお祭(燃水祭・日本書紀奉唱)new
2011/07/09 燃水祭で初。防水関係者による玉串拝礼。new
2011/07/07 行ってきま~す。近江神宮燃水祭
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2011/07/02 桧皮葺模型 その3(原寸大編)
2011/06/27 燃土燃水関連図 その②
2011/06/26 ウムを言わせぬ、この草屋根の力!
2011/06/25 哲学堂で森 光作さん(改修技術研究会会長)が絵画展
2011/06/25 震災被害を受けた建物の修理をどうしたらいいか。追加資料
2011/06/24 屋上緑化の哲人 ・ F.ヴァッサーの作品も省エネ対策
2011/06/23 燃土燃水献上関連図
2011/06/22 東日本大震災 この建物をどう直す?
2011/06/20 塩ビシート防水好調。ロンプも300万㎡突破
2011/06/19 防水の起源。「燃水祭」カウントダウン
2011/06/17 JWMA(日本防水材料協会)が社団法人化後初の総会
2011/06/15 黒川村まで460キロメートル
2011/06/14 ATS協議会が臨時総会で新体制へ移行
2011/06/13 アーキヤマデ塩ビシート防水でトップシェア
2011/06/11 SONG FOR JAPAN
2011/06/10 全アロン防水組合お薦めウェブマガジン
2011/06/09 T's スタイル 第1号は「岩見沢複合駅舎」特集
2011/06/09 田中享二先生最終講義始まります。
2011/06/08 「燃水祭」の御案内がきました
011/06/07 最近のチタン屋根に関する解りやすい情報
2011/06/06 サンロイドDN シート防水出荷量は20%増
2011/06/03 全防協総会
2011/06/02 Q&A 近江神宮HPトップになぜ防水専門サイトのバナーがあるの?
2011/06/01 上村克郎先生82歳のお話
2011/05/30 日本アス防水協組48回総会
2011/05/27 KRK第42回定時総会 好調続く塩ビは16%増
2011/05/26 菅首相、「太陽光パネル1000万戸に設置」表明 ですって!!
2011/05/26 大震災。即思い出したのは、今泉先生の言葉でした。

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最終講義④

防水研究の第一人者。
東京工業大学田中享二名誉教授の最終講義。第4回。
日本の防水研究が世界のトップレベルにあるという事の事例その1.とその2.。2つの「世界初」が続きます。

4 学んだこと その3 世界初の強風時の防水層の挙動を解明

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 次は風の話です。私の専門は防水で、しかも大学では建築材料学の教員ですので、風とは本来無関係の人間です。ただ防水層にも風による被害が多数出ています。これは何とかしなければならないという状況になりました。これも東工大にいて大変ありがたかったのですが、私の大学院での所属は環境理工学創造専攻というところですが、幸いにも建築の風問題の超専門家、田村哲郎先生がいらっしゃって協力をいただけることになりました。また研究チームを建築学会防水工事運営委員会内に作りましたが、加藤信男さんという東急建設技術研究所の風研究部門のリーダーの方も加わってくれました。風の専門家が二人もいてくれたら、怖いものなしです。安心して研究を進めることができました。
 研究室の側も私ひとりではありません。宮内博之さんとは二人三脚でした。さらに研究初期の頃は、今日もスロバキアから来てくれていますが、バルトコ・ミハエルさん、その後は市川裕一さんが博士課程の学生として参画してくれました。もちろん学会委員会を通して数えられないほどの方々に協力していただきました。このような体制で防水グループの人間が、大胆にも風の問題に取り組んだわけです。

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 防水層の機械的固定工法というのは、このスライドのように丸いディスクを下地にファスナーで固定しておき、その上から防水層を張り込むという、ちょっと特殊な工法です。なぜこのような工法が最近伸びているかといいますと、例えば防水層が古くなりますと、これを取り換える必要が出てきます。これが普通の工法ですと、古い防水層を撤去しなければなりません。そうすると廃材が出ます。手間もかかります。いろいろ大変なことが多い。それだったら古い防水層も生かして、さらにその上に新しい防水層を施工すれば、二重の防水層にもなりますから、より安全になります。さらにこの工法では新しい防水層をファスナーで止め付けるだけですから、下地の影響も受けにくいですし、施工も楽です。このようなこともあり、世界的にこういう工法が広まっています。

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 そこまでは良いのですが、この工法では防水層を所々でしか下地に固定しませんから、風が吹いても大丈夫かということが、素人でも気になるところです。案の定、2004年の台風時に、いくつかの機械的固定工法防水層に被害が出ました。これがその写真です。固定ディスクのところで、防水層が上に吸い上げられ、破れています。もちろん機械的固定工法採用に当たっては、風に対しても風指針等を参照して、きちっと設計されています。ただ設計では鉛直上向きの力しか考えられていません。世界中すべてそうです。しかし写真をみて分かりますように、横に引っ張られた形跡があります。もしかしたら横の方に引っ張られているかも知れないぞということが想像されたわけです。

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 それでは固定部にはどうような力が作用するか調べようということになりました。そのため東急建設技術所の風洞をお借りし、乱暴にも実スケールの試験体を入れまして、防水層の挙動観測を行いました。風の専門家からは風洞のサイズに起因する閉塞効果という問題があり、こういう大きい試験体を用いるのは、きちっとした実験ではないぞと言われましたけれど、何せ防水屋ですので現物の方が分かりやすい、ということで風洞の中にいきなり現物を持ち込んでやったわけです(会場笑)。そうすると、やはり横力がありそうだということが分かりました。そこで、やはり本物の建物で調べようということになり、宮古島に実験棟を建てました。

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 宮古島は台風銀座です。必ず台風が直撃する。それとたまたまですが、宮古島には日本ウェザリングセンターという屋外暴露試験場があります。我々もよくここを利用させていただくのですが、敷地が広くまだ余裕のあることを知っていましたから、お願いして建物を作らせていただきました。建設には250万円かかり、その年の研究室のお財布はからっぽになってしまいましたが、どうしてもやってみたかったものですから、がんばって作りました。

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これがその写真です。こういう真四角な建物です。平面は6m× 6m、高さ3mのお豆腐を切ったような形です。このような味もそっけもないような形にしたのは理由があります。建築で通常行う風洞実験では、1/100とか1/500とかいった縮小模型を使います。そうすると実際の建物の細かいところを再現するのは難しいので、すっきりした形にします。我々は逆でありまして、世の中に模型での風洞実験はたくさんありますので、風洞試験の試験体を拡大した建物を作ったわけです。普通とは全く反対のルールで作ったために、このような大型のお豆腐となってしまいました。この屋上に防水層を施工しました。先ほども説明しましたように、固定部には鉛直上向きの力だけでなく、横への力のあることも分かってきましたので、6分力計という横の力も測定できるロードセルを仕込みました。

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 このような準備が整い、後は台風を待つだけになり、ひたすら台風の襲来を待ちました。しばらくは台風が来なくてイライラしましたが、2009年の夏に好都合の台風が来てくれました。その時防水層がどのような状態であったかを、ビデオで見てもらいたいと思います。防水層の震えているのが見えると思います。バリバリという音がしていますが雑音ではありません。雨がマイクに当たっている音です。そして台風の時屋上に上がりますと、普段はまっ平らですけれどもこのように上下しているわけです。風速15m/秒でこの位ですから、猛烈な台風ではもっと激しい状態になると思います。実際のこのような状態を見たひとはそうたくさんいないと思います。特にこのようにきちっとビデオ撮影したのは初めてだと思います。

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 それではどのようなデータが取れたかです。従前より分かっていましたが、まず上方への吸い上げ力です。台風ですので脈動しています。それと案の定、横方向にもすごい力が観測されました。

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 どうしてこのような力が生じるかですが、冷静に考えてみれば当たり前でありまして、防水屋根というのは飛行機の翼のようなものです。風が吹くと上に持ち上げられます。そして屋根面では縁の方に強い吸い上げ力が作用しており、真ん中の方が低くなっています。これは風の専門家が克明に研究してくださっています。そうすると防水層のように変形しやすい材料では、ふくれる高さが軒先で高く、奥に入ったら低くなります。両者のふくれ高さが違いますので、その分だけ横力が出るわけです。ということで本当に横力の生じていることがわかりました。

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 それではこれがどれくらいの大きさかということです。これは防水層の耐風設計に不可欠の情報です。これを台風が始まってから終わるまでの全データについて調べました。これには加藤さんや研究室の学生さんたちが獅子奮迅の努力をしてくれました。この図は縦軸がロードセルの出力、すなわち固定部に作用する力です。横軸は速度圧がとられています。これは風が強くなると大きくなります。そして白丸が鉛直力で、黒丸が横力です。驚いたことに、鉛直力と横力は同程度であることが分かりました。これは10分間の平均で整理したものですけれども、これを最大値で整理してみると、何と横力の方が大きい。今まで、我々は吸い上げ力だけに対して設計していましたけれども、実は横力に対しても設計しなければならないということが分かったわけです。現在は横力に対する設計は全くしていませんから、先ほどの被害写真のように、ちゃんと設計したつもりだったけれども、損傷を受けたということも納得がゆきます。まだまだ知らないことはたくさんあるということが、明らかになったわけです。
 この研究を通しても、大切なことを学ぶことができました。我々は防水が専門ですので、風の専門家の方が指針や計算規準を作ってくれますと、それらにすっかり頼って設計するわけです。しかしちょっと横力があるのではないかと思って、実際にやってみましたら、むしろ横力の方が大きいということが分かったわけです。ですから、「気になったらやってみる」ということを教訓として学びました。
 この研究はカナダとアメリカのグループが以前から研究を進めていました。有名なハリケーンがあるからです。特にカナダ建築研究所のバスカラングループが先行していまして、大きな防水層の耐風試験装置を作って実験をしています。現在のカナダ規格にはその成果が反映されています。ただ鉛直力しか考えられていませんから、横力が入っておりません。昨年の国際会議で、宮内さん、加藤さんに横力の存在を発表してもらいました。これで我々のチームはバスカラングループを完全に追い越しましたので、後はもう水をあけるだけだと思っていたのですけれども、逆にバスカラングループから共同研究を持ち出されてしまいました。敵もさるものです。私もこれ以上無理に競争する必要もないし、一緒にやれば楽しいこともあるかなと思いましたので、共同で研究を進めることにしました。先月も宮内さんが日本から6分力計をもって、バスカラングループの実験の応援に行ってきてくれました。今、この研究は非常に活性化しているところです。

つづく


「BOUSUIデジタルアーカイブ」防水歴史図書館

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我が国の防水の歴史を考察する上でどうしても欠かすことのできない文献が何冊かあります。
防水歴史図書館(BOUSUIデジタルアーカイブ)では、そんな文献を1冊ずつ選び、本が書かれた当時の様子、おもな内容、その本のどこが「すごい」のか、現在生きる人たちにとって、どんな価値があるのか、それぞれの資料を担当するキュレーターが、時には執筆関係者への取材を交えて、分かりやすく解説します。

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