「今の防水業界がこれでいいのか」「いい仕事をすること、社会的貢献をすることと、防水工事で利益をあげることは両立すべきだ」と考えるあなたに!

2011年 7月8日 号(№54)

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2011年 文月ふみづき 平成23年、昭和86年、大正100年、明治144年

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燃土燃水関連図 その②

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推定 : これも恐らく 小川千甕(せんよう)
「日本石油史(縮刷版)」の見返し部分の挿絵(さしえ)は、印はないが、絵のタッチ、人物の描き方、大正3年版「日本石油史」の縮刷である、という点から、小川千甕によるものと、推測する。>>絵をみる

ウムを言わせぬ、この草屋根の力!

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三鷹ジブリオフィスの屋上緑化はすさまじくパワフル。
頭デッカチの机上屋上緑化論者に拝ませたい。
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哲学堂で森 光作さん(改修技術研究会会長)が絵画展

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中野哲学パークで哲学的建築郡に囲まれ、屋根の話を聞きながら哲学堂の絵を見る
哲学堂は哲学者で東洋大学創立者の井上円了博士によって、哲学・社会教育の場として創設された。
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屋上緑化の哲人 ・ F.ヴァッサーの作品も省エネ対策

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東日本唯一のF.ヴァッサー作品「ミレニアムカウントダウン時計」
節電のため水の循環ポンプが止まる。ビオトープ部分にいた金魚やコイはTBS緑山スタジオに移された。ここは赤坂TBS脇の公園スペース。>>全文を読む

燃土燃水献上関連図

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小川千甕(せんよう)
ルーフネット・日本防水の歴史研究会は、小川千甕のこの画は日本書紀の「燃土燃水献上」をテーマとしたものであると、推定します。
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東日本大震災 この建物をどう直す?

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「震災被害を受けた建物の修復をどうしたらよいか」
プロジェクトアシアス 第6回セミナー
『大震災の甚大な被害を前にして、我々修復に携わる者にとって、できることは限られている。しかし考える機会がなければ貢献できることは、さらに限られてしまう。被害状況の見方もその一つ。今回は震災関連の建物被害において、修復の考え方を整理し、意見交換を含めた研修セミナーを開催することにした。被害状況を説明するセミナーは多いが、我々の強みは「実践型セミナー」であること。危険である、と赤紙が貼られた建物を具体的にどうする、ということを話したい。』(鈴木哲夫代表の挨拶)>>つづきを読む

絵日記

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2011/06/15 黒川村まで460キロメートル
2011/06/14 ATS協議会が臨時総会で新体制へ移行
2011/06/13 アーキヤマデ塩ビシート防水でトップシェア
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2011/06/10 全アロン防水組合お薦めウェブマガジン
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2011/05/19 タイル改修の巨大マーケットにどう取り組む?
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最終講義③

防水研究の第一人者。
東京工業大学田中享二名誉教授の最終講義。第4回。
コンクリートの防水上の弱点について。
最高に理論的。かつ、思いっきり分かりやすいお話。

3 学んだこと その2

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 次の話題はコンクリートの細孔構造の研究です。防水の研究をしている人間が、何故コンクリートの研究にまで踏み込んだかといいますと、理由があります。防水材は一般に仕上げ材と言われますが、必ず相手となる下地があります。多くの場合はコンクリートです。そして防水層の性能は防水材料だけをいくら研究しても本当のことは分かりません。防水材とコンクリートがワンセットで、初めて性能を発揮するからです。

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 防水に関して、コンクリートの何が関係するかというと、透水性と透気性です。そしてそれは細孔構造と関係しています。この研究は私ひとりでは手に負えませんので、当時の大学院生、現在は北海道大学で准教授をやられていますが、胡桃澤清文さんと一緒に行ったものです。一般に細孔構造はポロシメータやその他いろいろな装置で調べるのですが、これらでは間接的な情報しか得ることができません。私は細孔構造を直接目で見なければ、
何となくもわっと細孔がありますよ、というのでは納得できなかったので、直接細孔構造を見る技術について研究しました。
 そこで開発したのが、ガリウム圧入法という測定の道具とテクニックです。基本的なコンセプトはポロシメータとちょっと似ているのですが、コンクリートの細孔に、液体状態にした金属を押し込み、細孔の中で固化させます。その後で断面を切り出して金属部分を元素分析装置で観察すれば、細孔の形がわかるだろう。こういうコンセプトです。

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 私のいる応用セラミックス研究所にはマシンショップが整備されていまして、そこに石井元さんという非常に能力の高い技術者の方がいらっしゃいまして、その方のところに相談に行きました。私はその時、低融点のハンダには80℃位で溶けるのがありますから、それを使うという考えを持って行きました。すると石井さんはもう少し低融点の金属があるはずだから、それを探してみたらとアドバイスをくれました。
 幸い研究室に実験の材料や機材の購入をお願いしている、村野さんという助手の頃からお付き合いしている方がいらっしゃいましたので、そういう金属はあるだろうかと相談しました。数日後、村野さんはいいのがあったよと言って、ガリウムを持ってきてくれました。ガリウムの変態変点は29.8℃です。これより上にしますと液体、それより低温にしますと固体です。この性質を使って、温度を高くして液体状態のガリウムを細孔内に押し込み、温度を下げて細孔内でそれを固化させるという技術の骨子が出来上がりました。その具体的方法を胡桃澤さんと一緒に研究しました。

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 このスライドは、彼の博士論文から拝借してきたものですけれども、このようなセメントペーストの試験体を準備しました。まずこれにガリウムを外側にかぶせるのです。それにはまず、試験体を容器に入れて、中を真空にします。そばにガリウムを置いておきまして、50℃くらいになるまで暖めます。そうするとガリウムが溶けて試験体を包み込みます。次にそれを冷やします。そうするとガリウムで外側が包み込まれた試験体を取り出すことが出来ます。

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 次の作業が非常に重要です。私はこの研究所にいて本当に良かったと思うのですが、研究所には超高圧の技術が受け継がれていました。現在もつながっています。斎藤進六先生という研究所長そして学長をなさった先生ですが、ラバープレスという方法を開発され、その技術が伝わっておりました。それは紛体をゴム袋に入れ、加圧して締め固めるという方法です。ここでもその考え方を使わせていただきました。

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先ほどの試験体をゴム袋に入れまして、今度はグリセリンを満たしている容器に入れ、再度熱を加えてガリウムを溶かします。そして超高圧をかけます。そうすると試験体の細孔にガリウムが入ってゆく訳です。これが試験体作成中の写真です。ガリウムが細孔内に充填された段階で冷やします。そして表面を研磨します。そしてその表面の元素分析をする訳です。これもやはり研究所にいてよかったと思うことなのですが、無機材料がご専門の安田榮一先生がいらっしゃり、EPMAという元素の面分析のできる機械を購入され、オープンにしてくださいました。今でこそポピュラーな機器ですが、当時は持っている研究室は数えるほどでした。

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これを使って試験体の面分析を行いました。表面から2ミクロンずつ研磨し、全体で数百枚のガリウム面分布画像を撮って、それらをコンピュター上で合成するわけです。すると立体画像を得ることができます。この図では、赤が1ミクロン以上の空隙を示します。青のところは空隙の全くないところです。残念ながら、現在のEPMA装置の分解能は1ミクロンですので、これが限界です。ですから黄緑色のところは、現状では完全に識別できない、1ミクロン以下の細孔の領域であることを意味します。それでもこの手法で、大きい細孔がどのように走っているかを、手に取るようにわかる訳です。

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 この技術を使って、実際に細孔構造を調べてみました。これは建築で「コールドジョイント」と呼ばれる、コンクリート工事としてはやや失敗した部分です。建物のコンクリートを打つ時、一気に3mとか4mとかという高いものは均一に充填することが難しいので、大体は1.5mか2m位ずつに分けて打ち込みます。そうすると最初に打設したコンクリートは半固まりですので、例えば次の生コン車の到着が遅れたような場合には、半固まりのコンクリートの上に、次の生コンが乗ります。そうすると接合部のうまくゆかないことがあります。この上手くゆかなかった部分を、一般にコールドジョイントと呼びます。
これはコールドジョイントの例ですが、この研究にガリウム圧入法の技術を適用しました。この図の見方なのですが、コンクリートは大きく2層で打たれています。下半分が先に打たれたコンクリート、上半分が後から打たれたコンクリートに相当する部分です。生コン車の到着時間を30分から12時間まで変えて、作った試験体です。例えば4時間、6時間の図を見てもらえば良く分かるのですが、赤い筋が横に走っています。ということは、ここが完全に1ミクロン以上の空隙を意味していますから、防水上の非常な弱点になっているということが分かります。

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 私がこの研究をやってみて、現行の建築学会の仕様書類は良くできているなと改めて思いました。JASS5コンクリート工事では、この打継時間間隔の規定があります。気温によって違いますけれども、2時間から2.5時間で打ち継げと書いてあります。これを見ていただくと分かりますように、この規定時間内ですと打継ラインが見えていません。ほぼ一体になっています。だからこういう点からも良くできているなと感じたわけです。

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 もうひとつの適用例は「セパレータ周り」です。建築以外の方は、職人さんが壁の厚さをよくあんなに正確に作るなと思うかもしれませんが、これにはタネも仕掛けもありまして、セパレータと呼ばれる、ねじの切られた鉄の横棒が型枠に取り付けられていて、これで型枠の内法幅を微調整しているのです。ここのキャンパスは打ち放しの建物が多いので、丸いポツポツを見ると思います。そこがセパレータの隠されているところです。
このセパレータ周りが防水上の脆弱部となります。この写真は雨の強い日に、私の実験室の壁を写したものですが、このようにセパレータ周りから雨がしみ込んできています。この図もガリウム圧入法でみたものです。丸いところがセパレータの鉄棒です。高さ方向3か所にセパレータを取り付けまして、1.5mの高さまでコンクリートを打ち込みました。上の図を見てもらうとよくわかるのですが、下側に半月状の赤い部分が見られます。ここは水の走りやすいことを意味しています。ですから雨が漏れてくるわけです。実験室ですので特に困るひともいませんので放ってありますが、マンションでしたら大クレームになると思います。

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 セパレータ周りはいつも水みちがあるというわけではなく、足元のセパレータでは上からのコンクリートの圧力がかかりますから、まったく問題はありません。危ないのは上の方のセパレータであるということも分かったわけです。
この研究の成果は、ゼネコンの研修資料に引用される等、いろいろなところで使われました。たまたまこの研究をしていた頃、研究室にコンクリートが専門のデンマーク工科大学のヤンセン教授が、客員教授として来られていましたが、この研究に大変興味をもち、ぜひ共同研究をしようと申し込まれました。実際この技術にはいろいろ反響があって、人様のお役に立てたかなと思っています。

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 建築のひとはどちらかというと電気が苦手なひとが多いです。私もあまり好きではありません。建築のひとは見えないと納得しない人種です。触ったら突然ビリビリ来るのは本当に苦手です。やはり「見える化」は相手に理解してもらう最高の手段であることを、この研究を通して学びました。

つづく


「BOUSUIデジタルアーカイブ」防水歴史図書館

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我が国の防水の歴史を考察する上でどうしても欠かすことのできない文献が何冊かあります。
防水歴史図書館(BOUSUIデジタルアーカイブ)では、そんな文献を1冊ずつ選び、本が書かれた当時の様子、おもな内容、その本のどこが「すごい」のか、現在生きる人たちにとって、どんな価値があるのか、それぞれの資料を担当するキュレーターが、時には執筆関係者への取材を交えて、分かりやすく解説します。

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