「今の防水業界がこれでいいのか」「いい仕事をすること、社会的貢献をすることと、防水工事で利益をあげることは両立すべきだ」と考えるあなたに!

2011年 7月31日 号(№57)

2011年 7月31日 号(№57) 新月

2011年 文月ふみづき 平成23年、昭和86年、大正100年、明治144年

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マンションを長持ちさせる85歳の設計者

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注文側と施工側の信頼関係について
鹿島出版会から、2000年に「マンションの劣化・修繕の知識」、2008年には「マンション修繕・管理の実際」を出版した印藤文夫さん85歳。いずれも好評で、こんな書評が寄せられている。>>全文を読む

防水の起源に関わる日本書紀の一節を描いた歴史画

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「燃土燃水献上図」のミステリー
新潟県黒川村(現 胎内市の黒川村)郷土伝習館の開館(昭和55年)に際して限定製作された色紙。この色紙は原画から、丁寧に複写されたものと思われたが、平成22年末の段階では、これがどの程度原画に忠実かは判断できなかった。>>全文を読む

屋上緑化の根の力

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輿水(こしみず)肇先生はこう考える
植物がコンクリートやアスファルトを食べている!
土壌被覆はコンクリートを保護するけれど、もし植物の根がコンクリートを傷めるなら、屋上緑化はどうすれば良いのだろう。>>全文を読む

東京話題の建物ツアー

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見よう、聴こう、質問しよう。
東京には意匠・構造・環境配慮に優れた話題の建物が数多く建設されている。日本建築学会は、全国学会大会の行事の一つとして、バスツアーを計画。>>つづきを読む

絵日記

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2011/06/09 田中享二先生最終講義始まります。
2011/06/08 「燃水祭」の御案内がきました

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最終講義⑥

防水研究の第一人者。
東京工業大学田中享二名誉教授の最終講義。最終回。

今回が最終講義の「最終章」です。 前回の章で田中先生はこう言いました。

この研究を通して、「相手をよく見ることが大事」ということを実感しました。特に本日お集まりの若い方に申し上げたいのですが、研究することは、データが単純に増えてゆきますから、パターン化されたマニュアルどおりの作業をすることと思うひとが多いのですが、実はパターン化された段階では、研究の実質の部分がほとんど終わっています。それよりも研究の初期は、試験体でも現物でもなんでも良いのですが、それとしっかり向き合って、じっくり見ていただきたいのです。そうすると研究の方法も見えてきますし、研究対象への対応のしかたも自分で分かってくると思います。

そして最後の最後に先生は、近年言い続けてきた言葉で締めくくります。

6 おわりに

 このようなことで、夢中でしたが大変幸せに40年間を過ごさせていただきました。4年生で卒業研究を始めた時は、思っていませんでしたが今振り返ってみると、結局は安全な防水層を作ること、それを長持ちさせること、これがやった主な仕事かなと思います。
 最初の頃は化学的な劣化。ウェザリングというのですが、気象に対して防水材料がどのように性能を低下させてゆくかということに取り組みました。それと今ひとつは古典的なテーマですが、下地ひび割れ部のムーブメントといった外力に対する安全性の問題でした。
最近は新顔の外力を対象とした研究が多くなりました。近年は屋上もいろいろな用途で使われるようになりました。本当は屋上を防水以外の用途ではあまり使ってもらいたくはないのですが、建物のユーザーから「こういう目的で使いたい」という希望があれば、エンジニアですから要望に応えてゆく必要があります。そういう観点からいうと、最近は風、根、それからタイヤと対象が広がりました。駐車場防水では車がカーブするときコーナリングフォースというとんでもなく大きな力が防水層に作用します。このような新手の外力へと研究対象が広がりました。
もちろん工学研究ですから、力を測っただけでは意味がありません。それら外力に負けない方法も併せて研究しました。ただそういう話は聞かされても面白い話ではありませんので、ここでは割愛しましたが、そういうことをやってきました。

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このような研究をやった目的は、実は建物本体の長寿命化のためです。建物の長寿命化の話をすると、それでは何年位の寿命にすればよいかと必ず聞かれます。これがそれに対する答えのスライドです。建物の寿命は厳密な数字で言っても仕方がありませんので、ざっくりとした対数目盛で作ってあります。そしてそれに、適当ですが、我々の生活イメージに合わせた名前をつけてまいりました。

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今の多くのひとびとが作っているのは、ざっと「人生のレベル」です。早稲田大学チームの調査研究によりますと、今の建築は大体40~50年くらいが一般的なライフです。アメリカでは90年くらい、ヨーロッパでは100年を超えますけれども、大体そんなところです。これはほぼひとの一生に相当する年数です。さらに100年を超えて数百年のものもあります。こうなりますとひとつの文化を作りますから、「文化のレベル」ということになります。1000年を超えると「文明のレベル」、1万年を超えると、もう訳がわかりませんので、これは考古学におまかせします。反対に寿命の短いものですが、商業施設やレストランといったものは、ライフはそれほど長くはありません。それでもひと時代の流行を作るという観点で、「風俗のレベル」。さらに短いのは、万博のように半年くらいで壊すものもあり、それは「博覧会のレベル」。最短はお祭りの屋台やサーカス小屋のような数日のものもあり、これは「祭りのレベル」。こういう分類です。
冒頭申し上げたように、私は当初、建築の勉強にあまり積極的ではありませんでした。しかし途中からは好きになりました。最近は本当に好きです。そういう建築を愛する人間としては、建築が100年もった程度ではさびしく思います。私がいて、先人がいて、後輩がいて、子供たちがいる。建築はそれらをすべて受け止める施設です。そして伝えてゆく施設です。そうするとやっぱり数百年はもってほしいと思います。奈良文化とか平安文化といわれる「文化のレベル」の建築くらいは作ってほしいと思います。その中で防水は建物本体を護る装置です。ぜひそういうことに役立たせてほしいと思いますし、貢献できると思います。

最後に非常に月並みですけれども、ここまで研究を続けてくることができましたのは、小池先生をはじめとする諸先生方、それから多くの諸先輩、後輩の方々のおかげです。特に研究室は、仕事も厳しく、飲む機会も多く大変だったと思いますが、私についてきてくれた学生諸君には、心よりお礼申し上げたいと思います。本日は長時間にわたりつまらない話に付き合っていただき、本当にありがとうございました。

>>「最終講義」完

田中教室「最終講義」を全文読むには、こちらから>>


「BOUSUIデジタルアーカイブ」防水歴史図書館

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我が国の防水の歴史を考察する上でどうしても欠かすことのできない文献が何冊かあります。
防水歴史図書館(BOUSUIデジタルアーカイブ)では、そんな文献を1冊ずつ選び、本が書かれた当時の様子、おもな内容、その本のどこが「すごい」のか、現在生きる人たちにとって、どんな価値があるのか、それぞれの資料を担当するキュレーターが、時には執筆関係者への取材を交えて、分かりやすく解説します。

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