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古代エジプトの繁栄を支えた船の防水

古代エジプトの繁栄を支えた船の防水

貿易船のマイハダと蜜蝋シール

448レリーフ エジプトの海洋船O5160133 (57)

5000年前、人類最古の文明の一つエジプトの繁栄は、ナイル川がもたらす肥沃な土地、タネをまくだけで豊か作物が稔るほど恵まれた農業に支えられてきたのである。同時に金やモツヤク、乳香、ラピスラズリなどの貿易で栄えた海洋国家でもあった。

3000年前,ハトシェプスト女王は、ナイル川の上流にあったプント国との交易で、その地位を確立した。交易手段の船はナイル川ではなく海洋船での紅海を利用したものだった。
それはどんな船だったのか?外国との交易を実現できるほどの海洋船の建造は、当時の技術では大地の上で動かいないピラミッドの建設以上に難しいという歴史家もいる。

遺跡の壁画や発掘された木造船の一部をもとに、当時の船を再現、実際に航海してみるというプロジェクトを、NHKハイビジョン特集「エジプト発掘」が紹介した。2021年5月5日放映(2009年8月の再放送だ)。コロナ禍で、再放送が激増し、思わぬ掘り出し物も多い。

448発掘された同時代の船エジプトの海洋船O5160133(52)

448水漏れエジプトの海洋船O5160133 (53)

20mの木造船が、地元の船大工によって、当時のままに、順調に再現された。進水させると、予想に反して1週間たっても木の隙間からの水漏れが止まらない。発掘された船にはアスファルトや樹脂で、防水した形跡はない。

そこで植物の繊維に着目。アスファルトや樹脂なら、付着物が残る。しかし繊維を詰めていたなら、数千年の時間を経て、痕跡は何も残らない。
リーダーのフロリダ州立大学シェリル・ワード博士は、そこで、現在でも木造船で採用している、植物繊維を充てんし、さらに、蜜蝋で隙間をシールするという方法を試みる。浸水はぴたりと止まった。

画像の説明

これは、琵琶湖で見つかった平安時代の木造船のシールと同じだ。

画像の説明
マキハダによる水漏れ補修(写真:公益財団法人滋賀県文化財保護協会)

かくして、エジプトの海洋船の復元と第1回航海実験は成功した。
詳細はNHKアーカイブズで、見ることができる。

マイハダ(マキハダ)・槙肌に関しては、以下参照。
「マイハダ(マキハダ)・槙肌」というシールについて

「マイハダ(マキハダ)・槙肌」というシールについて
発掘調査で初めて出土

中央の裂け目に充填してあるマキハダ。写真「公益財団法人滋賀県文化財保護協会提供」

滋賀県県文化財保護協会は、滋賀県長浜市西浅井町の塩津港遺跡で昨年出土した(平成27年12月8日記者発表)平安時代後期(12世紀前半)の大型木造構造船の調査を進めていたところ、船板に、板のひび割れ部分(写真)からの浸水を防ぐために縄状のもの「マキハダ(槙肌)」が使われていたことが分かったと発表した。マキハダはマキやヒノキなど木の皮を加工し縄状にした部材で、マイハダとも言う。ひび割れなど、浸水を防ぎたい部分に詰める。水分を吸収すると膨張し、水の流入を防ぐ効果がある。そのため、木造構造船を作る上で必須の技術で、現代の木造船にも使われている。

出土した大型の板材は船板を継ぎ合わせるための独特の技術「縫い釘」が使われた釘穴が残されていたため、船材と判断された。
同協会によると、この船板を現地から引き揚げたところ、内側は腐食し、中央で縦に割れた状態となっていた。この腐りや割れは船であったときにすでに生じていたものと考えられる。そして割れ目から水漏れが発生したようで、その水漏れを止めるために詰められたと考えられる、直径1cm程度の縄状のもの(マキハダ)を約1mにわたって割れ目に押し込むように充填させていた。マキハダとはマキやヒノキなどの樹皮を叩いて繊維状にしたもので、水漏れを防ぐための充填剤として隙間に詰め込んで使われたもの。船や桶などを組み立てるときに接合部に使われた。長い繊維状のまま詰め込む場合もあれば、出土品と同じように縄状に結ったものも使われる。また、今回の出土例と同じく補修に詰め込まれることもある。今回の出土品は12世紀代の最古の「板作りの構造船」の部材とされるものに使われていたマキハダである。
出土したマキハダは、船板(長さ205cm、幅58cm、厚さ11cm)の中央部分にあった裂け目(縦約2m)に、縦約1m、最大幅1cmにわたり詰められていた。船の使用開始後、船板のひび割れを補修するために用いられたとみられる。
国内初の出土例といい、平安時代にまで遡ることが分かった。

マキハダによる水漏れ補修(写真:公益財団法人滋賀県文化財保護協会)

マキハダを詰め込む様子。イラスト「公益財団法人滋賀県文化財保護協会提供」
槙は材木としては丈夫で朽ちにくく、水に強いなどの特性から、古代から棺や木桶、橋杭などの材料として多用された。

(ルーフネット記事:2016/08/14(日) 10:06:34|考古・地学|より)

奥の水みち 12 マイハダはこちら↓
「奥のみず道」第12回は「マキハダ」のお話し

2021/05/11(火) 10:41:34|考古・地学|

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