KOTOBA「次世代シーリング防水技術の体系」
KOTOBA「次世代シーリング防水技術の体系」
「次世代シーリング防水技術の体系」
田中享二東京工業大学名誉教授
シーリング工事のうちどの程度が改修向け、なのかは、機関誌の&シーラントには書かれていないが、メンブレン防水の比率から想像すれば、半分程度が改修向けだと思う。
改修では、古いシーリング材を撤去して、新しいシールを打つのが基本になる。
数年前、日経ビルダーズのシーリング改修特集に協力したとき、担当記者から、取材の様子を聞いた。
すると、目地をきれいに清掃して施工する工事店と、適当な施工店がある。丁寧な工事店の人に感銘を受けた。と言っていた。
シーリング改修に関する研究は、建築学会の論文集ではほとんどない。新築や耐久性にフォーカスしていて、改修をどうするか、という議論はほとんどない。
考えるに、撤去して、新たに打ち換えることが改修か、というと、疑問を感じる。
例えばメンブレン防水の場合は、改修というと、既存防水層の撤去は少なく、半分以上がかぶせ工法で対応している。
シーリングは、昔は目地幅が12~15ミリ程度、と非常に狭く、漏水事故をよく起こしていた。
その後、ブリッジ工法でかぶせ、急場をしのいだ。しかし、そうすると目地幅が広くなるので、デザイン上、嫌がられて、この工法は一時的なもので終わってしまった。
20年ほど前から、「これからは、建物は100年もたそう」、という掛け声をかけたら、少しずつ耐用年数が、増えてきた。シーリング材の場合、10年15年で、やり替えなけれなならないのだから、改修を前提とした、工法を考える時代に来ている。
それは「次世代シーリング防水技術の体系」、とでもいおうか。メンブレン防水の方では、数年前、次世代防水層として勉強した。そこには材料だけでは無理で、設計から始まって、施工の強力なサポートが必要である。今までの改修では施工が頑張って支えていた。施工の判断一つで、その後のシールがうまくいくか、ダメになるかうまくいくかが左右されていた。
シーリング材工業会は仕上げ材料の分野では珍しく、国際派だ。その西寧な仕事ぶりは各国から高く評価されている。次世代型シーリング防水の体系を、また日本発信で、行ってほしい。世界のシーリング技術をリードするようなシーリング材工業会であってほしい。
(2019年4月24日、日本シーリング材工業会総会の来賓挨拶で)
2019/05/16(木) 20:10:58|ひと|