50年前のFRP製初代ユニットバス発見
50年前のFRP製初代ユニットバス発見
国産ポリサルシーリング材の本格採用はホテルニューオータニ
8月28日付けの朝日新聞夕刊のトップに、「50年前の東京オリンピックに合わせて開発されたFRP製ユニットバスがホテルニューオータニで発見された」という記事が、3段抜きで大きく報じられていました。
東京都千代田区のホテルニューオータニは、1964年10月のオリンピック開催に合わせて17階建て1058室のホテルを1年5カ月という短期間で建設されました。躯体・外装はもちろんですが、一流ホテルとしての内装は最重要課題。当時は客室の浴槽を1部屋分作るのに1月以上かかっていました。もちろん通常は、厳重な浴室防水が施されます。どう考えても開幕までの設置は不可能です。
そこで導入されたのが、ユニットバスでした。新聞は「外国人にも日本人にも使いやすく、デザインと機能の両立にも苦労しました」という当時のTOTO開発担当の話、さらに「防水性と品質、デザインと機能を組み合わせる考え方は今も全く変わらない」という現在の開発部長の声を載せています。
そのバスユニットスラブとの隙間を埋め、防水の為に使用されたのは、恐らく国産化間もないポリサルファイド系シーリング材だと思われます。残念ながら当時の資料がまったく残っておらず、使用材料をたどることが出来ないそうです。しかしこの時、ホテルの外壁には、横浜ゴムが開発したばかりのポリサルファイド系シーリング材が使用されました。これが国産ポリサルファイド系シーリング材の国内での本格使用第1号ではないかという話です。
この経緯を鶴田裕さん(元大成建設)がNPO建築技術支援協会PSATS(サーツ)の機関誌Vol.062秋号に執筆しています。今回はそれを紹介します。
まさに「未来の家」
昭和31年ロスアンジェルスのディズニーランド内に建てられたFRP製の「HOUSE of TOMORROW」
内部、写真はいずれも鶴田裕氏昭和39(1964)年10.7撮影。
50年前、このFRP製の住宅は、本当に夢のような家に見えたことでしょう。
2014/11/01(土) 17:00:00|ニュース|