「今の防水業界がこれでいいのか」「いい仕事をすること、社会的貢献をすることと、防水工事で利益をあげることは両立すべきだ」と考えるあなたに!

2015年11月12日 号(№269)

2015年11月12日 号(№269) 新月

2015年 霜月しもつき 平成27年、昭和90年、大正104年、明治148年

画像の説明画像の説明

ウレタン防水材 2015年 第3四半期出荷量

画像の説明

2015年1~9月は40,145トンで、前年比97.9%
日本ウレタン建材工業会(NUK)はこのほど、2015年第3四半期(7~9月)の防水材をはじめとする、ウレタン建材の出荷量を発表した。>>つづきを読む

武相荘講座で「未来の建築~茅葺き屋根の魅力」を語る

画像の説明

中野誠 茅葺き職人として、24年間の経験と思いを語る
なぜ白洲邸は茅葺きなのか?
10月25日(日)、東京都町田市・鶴川の(武相荘)旧白洲邸で、京都・美山の茅葺き職人、中野誠さんが、茅葺き屋根の魅力を語った。>>つづきを読む

絵日記

画像の説明画像の説明

新着ニュース

2015/11/09 有名メタボ建築のピンバッチnew
2015/11/08 保存再生目指し「銀座の白い箱舟」出版new
2015/11/08 せんだいメディアテーク屋上鉄道new
2015/11/04 コンクリのひび割れ、浮きなどの計測技術を公募new
2015/11/03 「施工と管理」銅屋根クロニクル-27-
2015/10/31 ウレタン防水材 2015年 第3四半期出荷量
2015/10/29 銅板屋根と竹の樋
2015/10/27 富士雲
2015/10/27 安藤邦廣氏に聞く(4)
2015/10/26 武相荘講座で「未来の建築~茅葺き屋根の魅力」を語る
2015/10/26 摩伽羅(マカラ)
2015/10/24 第10期 コスミック工業会定時総会
2015/10/24 プロジェクトアシアス 第16回 マンションセミナー
2015/10/23 安藤邦廣氏に聞く(3)
2015/10/23 ミツバアケビ
2015/10/22 2015年 東西アス建築講演会
2015/10/18 2015年 第2四半期のシーリング材生産動向
2015/10/18 山形県上山市 旧尾形家住宅の蜂の巣
2015/10/14 安藤邦廣氏に聞く(2)
2015/10/17 光琳屋敷の樋
2015/10/15 日本建築学会 11月8日に第8回防水シンポ
2015/10/13 住生活総合調査
2015/10/13 日本一の茅葺き屋根寺院
2015/10/11 おじぎ草
2015/10/07 アスファルトによる放射能汚染土壌処理方法
2015/09/29 安藤邦廣氏に聞く(1)
2015/10/03 旧白洲次郎邸の屋根を葺いた職人が武相荘で講演
2015/10/03 鉛瓦葺きの城に降る雨
2015/10/03 世界最大級の木造建築の素屋根(すやね)解体
2015/10/02 「取り残された専有部分」第4回講習会
2015/09/29 安藤邦廣氏にきく
2015/09/25 白山神社能舞台
2015/09/23 「近江神宮燃水祭はいつ始まったのか」修正版
2015/09/22 2015年京都府文化財建造物修理現場公開
2015/09/20 全アロン防水組合34期通常総会
2015/09/19 am kiosk 2015.9.19.
2015/09/18 鴨川沿いに残る屋根
2015/09/17 京町屋の樋
2015/09/16 「奥のみず道」第7回は「燃水祭(ねんすいさい)」のはなし
2015/09/14 白川郷・五箇山の茅葺きを支えよう
2015/09/13 関西サラセーヌ工業会が講演会
2015/09/12 第39回水環境シンポジウム
2015/09/10 駅の屋根
2015/09/08 H27近江燃水祭 タイムライン

 :
以前の更新情報はこちらをクリック!


安藤邦廣氏に聞く(4)

筑波大学 安藤邦廣名誉教授に聞く 最終回

茅葺きは究極の観光資源 五輪施設を茅葺き屋根で

安藤5 PA110499

22条による差別をどう乗り越えるか?

法的にも迫害されている。

茅葺きは火事に弱いという理由でほとんどの地域に建てられない。不当な差別を受けている。

一つ一つ見れば、まわりに家がない、火を使う可能性がないなど、問題がないこともある、にもかかわらず、一様に網をかけて、ある県なんか99%まで22条地域に指定してしまって、山奥にも建てられない。不当な差別だ。そういう人たちの権利を保障しなくちゃいけない。

RN その迫害は、ある種の人たちが、何らかの意図を持って、推進しているんですか?

行政は代弁者にすぎないけど、それはある意味で、時代の精神ともいえる。
ある時代の精神なんだよね。乱開発を規制しようという時代にできた規制だった。都市計画に網をかけないと乱開発が起きて自然が破壊されるという考えにに基づいている。だから届け出制にする。都市を田舎に広める政策、都市拡大政策、都市経済、大企業・大資本の利益になる制度といっていいと思う。それはその時の日本人の合意による制度で、ある時代の流れ、国を作る方針だったわけだ。それ自体が悪いわけではない。だけど、それが行き過ぎてることが、時代が変わったにもかかわらず、強い力を持っていることがおかしいわけで、それは正すべきでしょう。それが悪ではない、ある時代にいいことだったけど、次の時代には足枷になる。それは修正し、規制緩和すべきです。だから元気な茅葺き職人たちはそれを修正しようと発言しているし、茅葺文化協会はそれを主張している。

協会を立ち上げた理由のひとつはそこにある。

みんなで声を上げて、不当な規制を正してもらおう。農村で育まれ、長い歴史と文化を持っていると同時に未来において有効な技術が、この規制によって疎外されていることは不当であると。

RN 葺く側の訴えだけでなく、建て主というかユーザー側の発言も必要ですよね。

そう。いわゆる業界団体ではダメなんです。

ユーザーというか所有者も同じ境遇にある。高くて葺けないとか、茅葺きであるが故の差別があるから、助け合いましょうということなんだ。だから茅葺き文化協会の三分の一は茅葺き民家の所有者です。職人が三分の一、所有者が三分の一、後は研究者や写真家や好きな人いわゆるサポーターです。業界団体じゃないんです。

RN その他に、活動を有効に推進してゆくために、どんな分野の力が必要とお考えですか?

造園屋、植木屋、庭師!!彼らとも共通点は多い。ほとんど同じ道具、はさみを使う、縄結びをつかう。技は共有しているし、高所作業でしょ。造園屋さんの中にも茅葺きをやりたいという人は多い。茅葺きをやらないと仕事にならないともいう。 門や、茶室、一々茅葺き屋根屋さん探してくるのは大変なんだよ。自分でやれたら儲かるかもしれない、と思っている。

必要性は高い。庭というのは日本の昔からの風景を再現するシーンもあるから、東屋、待合、寄合、ほんの小さい屋根がある。ほんの少しなんだけれど、茅葺きの点景がないと、造園が成り立たないことがある。樹木と石だけでは庭にならない。

こういう人たちや、庭を愛する人たちが一緒に声を上げてくれたら、大いに力になる。

日本庭園協会という団体には著名な日本画家や写真家、いわゆる文化人が属している。

庭というのは男の最後のロマンだから。平安貴族から、室町の将軍、明治の元老たち、経済界をリードした人たち、最近のIT長者まで、財をなした多くの人は最後には庭作りに腐心した。
その時に、庭に欠かせない茅葺きが時代遅れの規制で作れないと困るじゃないですか。京都の東山別荘群をはじめ、小田原や箱根の別荘群。庭師の仕事がなくなるだけじゃなくて、日本文化の核心ともいえる庭を愛する人も困るんですよ。

RN 彼らの発言力は大きいですよね。

うん政治家や、大企業の会長もいるだろう。だから彼らにも茅葺文化協会に入ってもらって発言してもらいたい。

安藤4 PA110405

あなたも茅葺きがお好きでしょ?

RN あなたも困るでしょ、といえばいいんだ。

いや「あなたもお好きじゃないですか」という。

いっしょに仲間に入ってください。22条でここに茅葺きを建てられない。規制緩和して、全体規制でなく、地域に応じた地域ルールでやっていけるんじゃないですか?と訴えてゆく。このあたりへの、広がりが、まだできてないところで、これからの課題です。茅葺きは貧しい世界だとまだ思っている。違うんだ。最も贅沢な世界なんですよ。

あらゆる贅沢なものを食って、最後に梅茶漬けが一番うまいとい世界かもしれない。

こういうところと、連携ができないとね。規制緩和を進めるのは力が必要だから。みんなの理解を得るためには時間がかかる、力のある人、日本をリードする人の発言は必要です。

それからね、観光面でも大きな損失ですよ。

最近,民家調査で中国へ行ったんですよ。中国人に「どこに行きたい?」と聞いたら「京都、奈良にはあまり興味がない」という。あれは我々の文化のまねだから、悪くはないけど、特に興味はないというんだ。「じゃあ、どこいきたい?」というと「伊勢神宮と白川郷だ」いう。「茅葺きを見たい」というんだ。

我々のところにも茅葺きはあったけど、今はもうない。だから見たいという。彼らも、茅葺きは普遍的な物で、自分たちの文化だとは言わない。日本はそれをきちんと残している。そこに感動し、尊敬するというんですよ。日本人が大事に残し、今に伝えていることを尊敬する。京都.奈良は尊敬できない。だから、京都、奈良は入門なんですよ。最後は茅葺に行きつくと思うんですよ。

20120606093427891[1]
白川郷

茅葺き地区は究極の観光地 

観光の最後の最高の局面は茅葺き。伊勢神宮、白川郷だけでなく、山里の茅葺のある風景、人類のふるさと、なんだよね。

草原と森の境、いわゆる里山の世界。どんな世界でも人間は里山から進化していった。だから観光資源としても、茅葺をなくすことは大きな損失で、その経済損失はとても大きい。観光立国を目指すなら、茅葺を残すことは、大きな価値を生む。

アートも同じですよね、ものすごく多面的な価値を持つ。一面からしか見なければ、生産性のないごくつぶしかもしれないけれど、見方を変えれば計り知れない経済価値を持つともいえる。

東京オリンピックの選手村に茅葺きで

''
RN そんな先生の計画を進める上でのタイムスケジュールは?いつまでに何を?''
(※即、帰ってきた答えが)

東京オリンピック!!
皆さんを茅葺きでお迎えしたいですね。クールジャパンなんて寒々しい言葉が有るけど、それくらいの大胆な提言をして、それで茅葺きが復活したら、オリンピックやってよかったね、となるかもしれない。
つまり東京だけで盛り上がったってしょうがないでしょ。だからあまり、賛同も得られないでしょ、震災復興はどうするんだ、ほったらかしじゃないか、ということにもなる。

茅葺きということを考えたら、東北は素晴らしい茅葺き文化の資産があるし、温泉と合わせて、東北復興。茅葺き復興で大きな観光資源のストックができますよ。東北はオリンピックの後、茅葺きの観光資産で食っていける。東京だけでなく半分は地方に投資する。地方の象徴は何か、それは茅葺きなんだ。茅葺きは茅だけでなく波及効果がありますよ。茅を苅るということは、里山の背景をきれいに整えてくれる、牛、馬を飼うことにつながるから風景が変わる。茅葺きの循環を取り戻そう、というのは伊勢神宮の教えなんだから、20年に一度葺き替えるということを東京オリンピックを機にはじめましょう。

20120604164903fa6[1]
白川郷

観光の最大の価値は「尊敬」。尊敬できるから見に行く

屋根を見るだけでなく、葺き替えを見せること自体が、魅力的なパフォーマンスであり、イベントなんだよ。それを見せてあげましょう。 日本人が100人屋根に上がって葺いている姿を見せてあげましょう。絵になる。団結の素晴らしさは賞賛されますよ。尊敬ですよ、観光の最大の価値は尊敬なんだよね。

これは自分たちにはできないことだ、素晴らしいことだ、と思ってもらえる。だから、見に来てくれるんですよ。茅葺きにはその力があるんですよ。

屋根の造形だけじゃなくて、それを葺く姿にも価値がある。人を感動させる。

今でも白川郷での屋根の葺き替えは、大変な驚きを与えていますよ。オリンピックの時にそんな光景があちこちで見られたら、外国人は大喜びますよ。オリンピックの競技を見るよりも楽しいかもしれない。茅葺きの競技をやってもいいかもしれない。共同作業の葺き替えも見た人は、素晴らしい景色を見て、こんな日本人だから震災を乗り越えたんだ。と尊敬されますよ。サッカーは弱いかもしれないけど(笑い)いいじゃない弱くても。「尊敬」それが平和への一番大事な心です。
そんな提言したいですね。やりたいね。とりあえずは選手村を茅葺きで作ってほしいね。1か月間だから仮設で行ける。万博施設と同じ、だから今の法律下で可能です。

茅葺きの食堂なんかもいいね。

そこで葺き替えやれば素晴らしいレセプションになる。それを中野や塩沢や相良達にやってもらいたい。今、アラブの王様やシンガポール、香港の富豪の別荘の屋根葺きで彼らに声がかかっている。そんなこんな可能性が今の茅葺きアーティストたちには見えてる。彼らのジャンプ力はすごい。一般の人たちが考えている茅葺と違ってる。イマジネーションのジャンプ力が違うんだ。

RN だから彼らは元気なんですね!

※ ※ ※

2014年8月19日インタビュー・茨城県・北条にて。

※このインタビューは1年少し前、オリンピック施設をめぐるドタバタの気配は全くなかった。韓国、中国との緊迫感もなかった。安藤先生の提案は新鮮だった。現時点でこのインタビューを、見返すと、安藤先生はまるで、13か月後の情勢を予見していたように思えた。そのことを安藤先生に言うと「私は10年も前から同じことを言ってるよ。世の中が動いているだけだ」とかわされた。

世界を喜ばせる東京オリンピックの茅葺き施設、安藤案を是非とも実現させたいものだ。

2015/10/27(火) 09:00:00|茅葺き文化|


「BOUSUIデジタルアーカイブ」防水歴史図書館

我が国の防水の歴史を考察する上でどうしても欠かすことのできない文献が何冊かあります。
防水歴史図書館(BOUSUIデジタルアーカイブ)では、そんな文献を1冊ずつ選び、本が書かれた当時の様子、おもな内容、その本のどこが「すごい」のか、現在生きる人たちにとって、どんな価値があるのか、それぞれの資料を担当するキュレーターが、時には執筆関係者への取材を交えて、分かりやすく解説します。

  • 主な収録項目

特集ページ


本サイトの内容の無断転載、および無断利用を禁じます。

powered by Quick Homepage Maker 4.8
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional