「今の防水業界がこれでいいのか」「いい仕事をすること、社会的貢献をすることと、防水工事で利益をあげることは両立すべきだ」と考えるあなたに!

2012年10月22日 号(№118)

2012年10月22日 号(№118) 画像の説明

2012年 神無月かんなづき 平成24年、昭和87年、大正101年、明治145年

画像の説明画像の説明

UR都市機構 10.30に研究報告会

画像の説明

UR都市機構(独立行政法人都市再生機構)は、全国4か所で第26回研究報告会を開催する。今年のテーマは、「持続可能なまちづくり ~ひと・まち・くらし~」東京は30日(火曜日)、津田ホールで。
>>つづきを読む

伊勢神宮 正殿の茅葺き屋根

画像の説明

JR東日本のPR誌「ひととき」9月号で、千種清美氏が伊勢神宮の茅葺き屋根を紹介。
来年秋の式年遷宮に向けて正殿の屋根を茅で葺き始める「檐付祭(のきつけさい)」が行われた。皇学館大学非常勤講師で、「伊勢学」を担当する千草清美(ちくさきよみ)さんが、その様子をJR東日本のPR誌「ひととき」9月号で、2ページにわたって紹介している。>>つづきを読む

屋根が無いから、屋根のことを考える

画像の説明

左官の匠・挟土秀平(はさど しゅうへい)が見せる土と緑の調和
平成24年9月29日(土)から10月28日(日)までの30日間、緑の風がふきぬける東京」をテーマに、第29回全国都市緑化フェアTOKYOが都内6箇所のメイン会場を中心に、開催されている。>>つづきを読む

絵日記

画像の説明画像の説明

新着ニュース

2012/10/20 深川不動尊の銅板屋根new
2012/10/18 樹齢100年の禅寺丸と茅葺き屋根new
2012/10/17 防水材料別施工実績(JWMA発表2012年上半期)new
2012/10/15 平成24年度 建設マスター顕彰new
2012/10/12 UR都市機構 10.30に研究報告会
2012/10/11 秋の銀座 夜の紅葉
2012/10/11 京都府庁旧本館
2012/10/08 伊勢神宮 正殿の茅葺き屋根
2012/10/08 「板金いま、むかし」ルーフネットで転載中。
2012/10/06 屋根が無いから、屋根のことを考える
2012/10/05 正倉院の防水用屋根下ルーフィングはサワラの土居葺
2012/10/04 ツタンカーメンと防水の接点 ③
2012/10/02 平成23年中にサッカーコート 34面分の屋上が緑化整備
2012/10/01 正倉院正倉の校倉(あぜくら)
2012/09/30 「板金いま、むかし」ルーフネットで連載開始。
2012/09/28 十三夜
2012/09/28 正倉院正倉の軒先から東大寺と興福寺を見る
2012/09/26 関東防水管理事業協組総会
2012/09/23 ツタンカーメンと防水の接点 ②
2012/09/23 リフォーム&インテリアショー
2012/09/22 確かに東北新幹線は東京駅からでている
2012/09/20 黄金のマスクより興味深い瀝青の王と女神
2012/09/19 土木研究所 創立90周年記念講演会
2012/09/17 ツタンカーメンと防水の接点 ①
2012/09/16 東京駅ルネサンス
2012/09/15 紫式部色づく
2012/09/14 改修工事標準仕様書の方向性で討論
2012/09/13 正倉院の屋根ふき替え 雨漏り懸念で
2012/09/12 建築学会改修工事標準仕様書制定に向けて
2012/09/11 京都の建設新聞が燃水祭を大きく報道
2012/09/10 上野・黒門(旧因州池田屋敷表門)重要文化財
2012/09/09 スカイツリーの防水 ②
2012/09/04 防水メトロ 営団メトロは最近防水対策を熱心にPR
2012/09/03 31期全アロン防水組合総会
2012/09/01 「武相荘─秋」
2012/08/30 絵日記・ヤタイヤシ
2012/08/29 処暑の朝焼け
2012/08/29 ヒートアイランド対策大綱改定へのパブコメから
2012/08/28 材料施工委員会が左官工事小委員会委員を公募
2012/08/25 ビオトープなど長年の研究成果踏まえシンポ

 :
以前の更新情報はこちらをクリック!


銅餝師(どうかざりし)鴨下松五郎さんのはなし

京都府庁

京都府庁旧本館
京都府庁旧本館(重文)の美しい銅板屋根
(撮影:ルーフィングジャーナリスト佐藤孝一)本文と直接の関係はありません)

ほぼ週刊ウェブマガジン「ルーフネット」第118号の連載読み物は、明治40年生まれの銅板屋根職人の鴨下松五郎さんへの貴重なインタビュー記録の3回目です。社団法人日本金属屋根協会が機関誌「施工と管理」に連載した記事の転載。日本金属屋根協会は平成7年から4回にわたって、名高い銅錺師(かざりし)鴨下松五郎さんのインタビューを機関誌「施工と管理」に掲載しました。

今回の話題は1950年生まれの記者には懐かしいものです。小学校に上がる前、当時の町屋では杉板の塀やトタン屋根にコールタールを、ペンキ感覚で塗っていました。ハシッコイ子どもは鉄くずを集めて「クズ屋」に売り、駄菓子を買う資金にしていました。銅板は「あか」と言って高級品でした。父親は「うちのトユはあか(銅)を使うてるんや」と自慢していましたし、寺の樋が盗まれた、といった話も聞きました。

板金いま、むかし -鴨下松五郎氏に聞く- ③

あか板、くろ板、銅板……

 高いと言えば、昔は手間より材料が高い時代でしたから、職人さんが材料を懐に入れちゃうことが結構ありました。銅板は特に高いですから、うちの若い者がある時に銅板を細く切りまして、お腹に巻いて逃げちゃったんです。まあ泥棒です(笑い)。逃げ切れればよかったんでしょうが、警察に捕まっちゃったんです。うちの親父が警察に呼ばれまして、職人は「あか(赤板)」と言ったんですが、親父は銅板と言った。そしたら警察では「どっちなのだ?」「それとも両方やったのか」となって、怒りだしてしまった。同じものだって説明しても「お前達はそういう二つ言葉を使うから駄目なんだ」とかなんとか、親父は困っちゃったらしいですよ。銅板のことは私ら「くろ(黒板)」とも言っていましたから、そう言ったらどうなってたんでしょうね(笑い)。

鉄は毒じゃない

 材料では他に、すず引きのブリキ、亜鉛鉄板などがありました。それと戦後すぐはジュラルミンが出回った。物がなかったので飛行機で使っていたジュラルミンが大量に出てきたので飛びついたんですが、これがどうにも硬くて、なましたって、何したってどうにも使えない、困りましたね。いろんな材料を使ってきましたが、苦労はさせられました。こういう面では、今は有り難いですね。

 まずブリキは、今の厩橋のあたりに、専門で扱っているお店が5軒か6軒あったと思います。新聞の一面に当たる大きさのものが「2枚がけ」、二面の大きに当たるのを「4枚がけ」と呼んで売ってました。私らのほうは「2枚がけ」何枚、「4枚がけ」何枚といって買ったものです。「2枚がけ」は小さいですから、あまり使い道はありませんので、「4枚がけ」をよく買いに行きました。

 何を作っていたかと言いますと、お弁当屋さんの味噌汁入れなどです。当時はお弁当屋さんが、車を引いて売り歩いていたのですが、味噌汁も缶に入れて持ち歩いていた。その味噌汁入れを作るには、亜鉛引きのトタン板では駄目なんです。トタンはすぐハンダが切れちゃいますから。その点すず引きはハンダはとれません。こういう缶を「4枚がけ」でよく作りました。

 ハンダは良く付くのですが、そのかわりブリキはトタンに比べて錆びるんですよ。味噌汁は塩そのものですからね。そうするとどうなるかと言うと、弁当屋は「鉄をわざわざ飲む奴もいるんだから大丈夫だ」「鉄は毒じゃない」ってね。毒じゃないっても錆びが出ればね……もっとも飲む方も「鉄は毒じゃない」なんて言って飲んでましたがね(笑い)。

鴨下さん困るよ……

 ブリキもそうですが、亜鉛鉄板も輸入物が多かったですね。「英板」「米板」と呼んでいました。これが硬いんですよ。ハゼをつぶす時にソーッとつぶさないと折れてしまう。そこでね「つかみ」をもって材料屋さんにいくわけ。試しにつかんでみて折れないやつを買ってくるんです(笑い)。材料屋さんも困っちゃいますよ。売れなくなりますから。ですから「鴨下さん困るよ……」となります。当たり前です(笑い)。そういう迷惑をかけたお店が金物通りの「紀繁」さんや浅草橋にあった「佐野」さんです。

 亜鉛鉄板の厚さは「8枚割」「10枚割」とか呼んでいました。これも銅板と同じで目方からきている表現です。一つの梱包に何枚入っているかで厚みを現わしていました。「8枚割」は 8番、0.5mmですか。そういう物を使ってストーブの煙突なんかを作りました。暮れに入りますと注文が多くなりますから、ガンガンやってました。当然近所じゃうるさいから文句を言ってきます。ところが当時の職人は乱暴でしたから、グズグズ言われるとね「てめえら後から来やがったんだろ」って、夜中でも遠慮なしにやるわけ(笑い)。ご近所はたまったものじゃありません。

 それから米板で「アポロ」という製品がありました。これはいい物でしたね。メッキが厚くて、表面がきれいで鏡みたいな板でした。 8番以上だったと思います。これは「流し」などによく使いましたが、最高級品という感じでしたから、どうしても使わなければいけない時にしか使えませんでした。

ハンダの付かない亜鉛鉄板

 これは戦後だいぶ経ってからの話なのですが、あるメーカーの亜鉛鉄板でハンダが付かなくなっちゃったんです。板金屋としてはハンダの付かない亜鉛鉄板では仕事になりません。亜鉛が寄ってしまうのです。メーカーさんに困るということを申し上げたら、一度工場に来てほしいということで、組合の人と一緒に行きました。「お宅の板はこうです」と現物を見せて「ハンダが付くような物をこさえてほしい」と申し上げました。最初は「こんなことが……」ってメーカーさんの方では半信半疑の感じでしたが、「申し訳ないが我々の業者はハンダの付かないものは使えない」って色々申し上げたんです。そうしたら工場を見て気がついたことがあったら指摘してほしいと言うので、工場を見せていただきました。

 めっきをする前に板を洗浄する際に、相当枚数を重ねて槽の中に入れて洗っておりました。板は密着しているので相当時間をかけないとちゃんと洗浄出来ていないような感じでしたので、「めっきの表面はきれいなのだから、原因はそこじゃないですか」そう申し上げたんです。

 後から「ご趣旨に添えるような製品にしました、ありがとうございました」とお礼が来ました。勿論ハンダは付くようになっていました。

コールタールを雑巾で塗る

 あとはお世話になった材料は、何といってもコールタールですね。これは丈夫なもので、非常に役に立ちました。いまでも山梨あたりでコールタールを塗った屋根が残っています。50年、60年たったものですが、鉄板の方は錆びていて叩けばパリッと折れてしまうような感じですが、コールタールで屋根として持っている。

 昔の板金屋の「小僧」はいつもコールタールの缶と七輪を腰にぶら下げて歩いていました。それほど良く使った材料です。ただ恰好は悪かったですね(笑い)。昔の職人さんにはすごい人がいました。コールタールは普通刷毛で塗るものですが、刷毛よりも雑巾の方が速いって雑巾で塗っていた職人がいたそうです。1日に100坪塗ったといいますから、そりゃ速いです。しかしこれはたまらないですよ。コールタールの中に手を突っ込むのですから……。

 そのコールタールは今の日本橋の本町にあった「熊野屋」さんに買いに行きました。東京では一番の塗料屋さんでしたね。それこそ何でもありました。

地の粉

 雨漏りがしたら張り替えればいいのだけれども、材料が高いので簡単には出来ません。今ならシーリングで良いものがありますが、当時はそんなものはなかった。どうしてかと言うと「地の粉」というのがあって、これをコールタールと適度に混ぜたものを使っていました。

 これを混ぜるのがやっかいなんです。「面倒くさい」って一度に入れると、掻き回せなくなっちゃう。少しずつ調合しながら入れていくのですが、夏の時期ならばポタッと垂れない程度とか、練り具合の感じが難しい。その出来具合で職人の腕が分かるとも言われてました。時にはあと少しで出来上がりとなるとき、ちょうど粉が無くなってしまう。困まっちゃて、その辺の泥を入れてごまかしたり、とか色々ありました。

 その「地の粉」を混ぜたものを布に浸み込ませて雨漏りの箇所に置き、その上にコールタールを塗って補修していました。雨漏りを止める材料は、これしかありませんでした。そのかわり良く止まりました。

 「地の粉」を塗る時使う布は、着古した浴衣を細長く裂いて作り、包帯のような感じで巻いておきます。布地ですから裂いたときに多少ケバ立ちます。これを火で焼いて滑らかにしておりました。ケバ立っていると屋根に貼った後そこからめくれてきちゃうんで
す。これも「小僧」の仕事で、仕事から返ってきたあと夜業(よなべ)で作ってました。今はこんなとぼけた仕事はありませんね。

 それと、麻の紐をばらして「地の粉」に混ぜていました。これは土壁の泥にワラを入れるのと同じで、「地の粉」が割れるのを防ぐという話しでした。実際に効果があったか、どうだか分かりませんが(笑い)。「地の粉」もあまり厚く塗っちゃいけない。適度に塗って貼付て、その上にコールタールを塗って、補修した箇所を分からないようにしてました。

(つづく)

2012/10/15(月) 09:49:00|屋根|


「BOUSUIデジタルアーカイブ」防水歴史図書館

画像の説明

我が国の防水の歴史を考察する上でどうしても欠かすことのできない文献が何冊かあります。
防水歴史図書館(BOUSUIデジタルアーカイブ)では、そんな文献を1冊ずつ選び、本が書かれた当時の様子、おもな内容、その本のどこが「すごい」のか、現在生きる人たちにとって、どんな価値があるのか、それぞれの資料を担当するキュレーターが、時には執筆関係者への取材を交えて、分かりやすく解説します。

  • 主な収録項目

特集ページ


本サイトの内容の無断転載、および無断利用を禁じます。

powered by Quick Homepage Maker 4.8
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional