「今の防水業界がこれでいいのか」「いい仕事をすること、社会的貢献をすることと、防水工事で利益をあげることは両立すべきだ」と考えるあなたに!

2011年9月12日号(№63)

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2011年長月ながつき 平成23年、昭和86年、大正100年、明治144年

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戸建住宅地下室をめぐる紛争でフォーラム

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見積り無しでビルを建て、価格で争う不思議な業界
紛争解決と予防を目指す
新築ビルが完成して、施主と請負会社の間で、支払金額を巡って大きな紛争になった。どうしてそんなことになったかと言うと、何と、ちゃんとした見積りがないまま工事が始まり、建物の引き渡し時点で、決着がつかず裁判所に持ち込まれた事案だ。>>続きを読む

コンクリートの耐久性に関するとてもわかりやすい年表が出来た

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建物の長寿命化とトータルメンテナンスへの道
東亞合成機能化学品事業部建材・土木グループは、建築関係者や施主を対象に技術広報誌「あしば」を年間数回のペースで発行している。発行部数は5,000。今回の第117号の特集は「建物の長寿命化とトータルメンテナンスへの道」。>>続きを読む

歴史画の父・小堀鞆音の初公開作品「燃土燃水献上図」

佐野美術館プレスリリース-2

佐野市立吉澤記念美術館 小堀鞆音展で記者会見
アスファルトの歴史語る幻の作品
>>8月31日の記者会見で配布された資料を見る

「燃土燃水献上」関連図その③

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連作版画「燃える水物語」
「燃える水物語」という連作版画が本になっている。勿論あの、日本書紀に書かれた「天智天皇への燃える土と燃える水を献上した」がテーマだ。郷土史を研究する先生の台本をもとに、新潟県の小学校の先生の指導で子どもたちが版画を彫った。>>絵を見る

絵日記

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ルーフネットが伝えたいこの人の言葉 ③

鶴田裕さんの3回目の話は、防水と建築紛争の話。

鶴田さんは建築学会の「司法支援建築会議」のメンバーで、東京地裁の調停委員も長期間務めていた。

司法支援建築会議
建築紛争は、基礎・地盤、駆体構造、材料から設備(空調・配管)、雨漏り、音、熱、光などの多岐にわたり、紛争対象箇所も多数に及ぶ。一方、当事者代理人や裁判官には専門的知識が十分でなく、瑕疵(かし)を主張する施主も専門家ではないことから審理の複雑化・長期化を招きやすい傾向にある。従って円滑・迅速な審理のためには専門家の参加による調停制度を活用しての解決や、裁判官の判断に寄与する適正な鑑定制度の必要性が指摘されていた。

同時に、設計者・技術者にとっても紛争を防止するために、施主に対する説明責任を果たすことを通じて業務の透明性を高めると同時に、紛争事例に学ぶ必要があった。

このため日本建築学会内に、豊かな学識・実務経験者を会員として司法に建築学会の立場から裁判所を支援する「司法支援建築会議」が設置された。

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鶴田年賀状3

写真上:2007年の年賀状当時の解説:今から73年前に生まれた京阪電車京津線「びわこ号」の50年前の姿。東山三条(現京都市営地下鉄東山)にて。軌道線と専用鉄道線を直通するための高さが異なるドアがあるのは、今見ても発想が新鮮。

写真下:2007年の年賀状の解説:今から50年前の中央線・市谷。三鷹発1590A の緩行線経由東京行き下りは、急行(現在の快速)1691A で河口湖行き。電車はピカピカのモハ71系。背景も今よりきれい。今年はモハ201系もいよいよ代替わり。

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以下はルーフネット編集長が上の京阪電車に刺激されて出した蛇足写真。

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京津線は京阪三条と浜大津を結ぶ。浜大津で乗り換えると10分ほどで近江神宮駅、三井寺駅だ。三井寺駅の直ぐ側に琵琶湖疏水の取水口がある。琵琶湖に最も近い疏水橋を渡る現在の京阪電車。

防水研究者の調停委員体験記

司法支援建築会議会員 鶴田 裕

 日本の建築物の屋根に初めて防水層が施工されたのは、明治38 年に竣工した大阪瓦斯の2 代目事務所ビルの陸屋根部分で、アメリカから輸入された天然アスファルト製品であった1)。以後約50 年間、「防水」と言えば天然品が石油精製の副産物に変わっただけで、アスファルトの同義語であった。しかし昭和30 年代前半からの約10 年間に、油性コーキング材やゴム状のシーリング材に始まり、塗膜防水やシート状の合成ゴム系などの防水材が海外、主としてアメリカから雪崩の如く押し寄せ、一気に国産化も進んだ。ゼネコン技術研究所の新人の私にとっては、これらの新建材の性能評価をはじめ、国のJIS 原案作成、日本建築学会のJASS 8制定、建設省の耐久性総プロ、日本住宅公団の屋根外断熱防水仕様など、公的機関の広義の品質基準づくりの手伝いをした。そんなわけで、調停委員を委嘱された時に「防水のことならお手伝いできます」と答えて以来8 年間で30 件に関与した。
 その30 件であるが、うち2件は改修業者の甘い言葉にのせられた詐欺のような事件であったが、残りの28件は技術上の問題に起因する漏水で、ひとつとして同じものはなかった。以下に大きく分類して述べる。

1.防水層がない
 防水性能は、建築物にとって耐震、防火・耐火と同じくらいの重要な要求性能と考えている筆者にとって、絶句させられることが多かった。
 地下外周壁部分からの漏水原因のほとんどは防水層がないのである。敷地一杯に建てようとするために防水施工が困難など言い訳が多かった。その結果居住者、使用者は泣かされている。山留に防水層を先遣り施工してからコンクリート打設など、都市土木工事で多用されている工法を見習う必要がある。地下外周壁の内側にブロックの二重壁で良しとする考えは、健康保持の面でも好ましくない。そういえば地下部分からの漏水調査に出向いた先は「谷、沢、窪」や「久保、津」など水に関した地名が目立った。
 耐震上の配慮から建物にエキスパンションジョイントを設ける事例が増えているが、地下部分にはこれを設けなかったり、納まり不良で地下水が漏れ放題、直しようがなかったという事例もあった。
 事実上防水層がないというものに、斜線制限による斜め屋根がある。この部分を斜壁(しゃかべ)と称する建築関係者が多いが、筆者に言わせればこの部分は明らかに屋根である。壁だからと美観を重視した塗装で仕上げ、居住者は悩まされ続けている。金属パネルを斜め屋根に取り付け、ジョイント部分にシーリング材充填だけで良しとする工事では、早期からのシーリングの接着剥離で悩まされ続けている。垂直な外壁では、もし雨水が入り込んでも最下階で排出される可能性があるが、斜め屋根の場合は悲惨である。

2.リフォーム
 改めてリフォーム絡みの紛争を整理してみると、改修工事業者の提案や説明には工事受注優先のものが多く、追加工事、仕様の変更など、また変更見積り書の提示がないのがほとんどである。これから建物の長寿命化、延命化は重要な課題になるが、設計行為、改修工事にあたり消費者側に思いやりを持った対応が望まれる。

3.その他
 少数例ではあるが建築技術者として無視できない事例として、1)地震時に動きが大きい鉄骨構造にラスモルタルを施工し、地震のたびにきれいに仕上げた外壁に亀裂が発生、2)高さ制限の算出ミスで結果は漏水、など枚挙に暇がない。
 調停委員に任命されて若葉マークが取れたころ、調停委員の方々に対して防水についての説明会の講師を務めた際、最後のQ&Aで「このようなトラブルの再発防止は誰にイニシァティブをとって貰ったら良いか」の問いに思わず“設計者”と答えてしまったが、解決までに長期間を要した事件の根本原因は今でもそこにあると思っている。
注1)「建築雑誌」第233 号(1906.5)pp.299 ~ 300、東京工業大学名誉教授小池迪夫氏の調査
(元・東京地裁調停委員、元・大成建設技術研究所)

司法支援建築会議会報 2011.8/No.10

2011/09/02(金) 00:23:56|ひと|


「BOUSUIデジタルアーカイブ」防水歴史図書館

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我が国の防水の歴史を考察する上でどうしても欠かすことのできない文献が何冊かあります。
防水歴史図書館(BOUSUIデジタルアーカイブ)では、そんな文献を1冊ずつ選び、本が書かれた当時の様子、おもな内容、その本のどこが「すごい」のか、現在生きる人たちにとって、どんな価値があるのか、それぞれの資料を担当するキュレーターが、時には執筆関係者への取材を交えて、分かりやすく解説します。

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