鶴田裕さん「アルアルだらけのナイナイづくし」
鶴田裕さん「アルアルだらけのナイナイづくし」
防水工事と環境保護
- 鶴田裕(つるた ゆたか)氏
防水をライフワークとする元大成建設の防水・仕上げ材料研究室長。停年退職後、防水メーカーに6年間勤務したあと、NPO建築技術支援協会(略称PSATS・サーツ)で技術アドバイザーとして、防水担当。3年前から裁判所の調停員を務めている。NPO匠リニューアル技術支援協会理事。
約20年前、中小超大手にかかわらず、ゼネコンの最大の問題点は漏水・雨漏りだった。各ゼネコン研究所も防水を最重点課題として、対策に全力投球した。会社の枠を超えた防水研究者同士の繋がりは強く、設計者、メーカー、工事店を巻き込んで、防水材料・技術の発展に大きく貢献した。鶴田さんはそうした防水研究者の中心メンバーの一人。(編集長記)
略歴:
昭和11年 東京都新宿生まれ
33年 早稲田大学建築学科卒
35年 同大学院工学研究科・建築材料施工専修修了
35年 大成建設入社
60年 建築部長
平成8年 定年退社
- 日本建築学会防水工事運営委員会主査
- 建設省総プロ「建築物の耐久性向上技術開発」・防水グループ主査
- 建築業協会防水研究委員会委員長
- 日本建築仕上げ学会理事
- 日本外壁防水材工業会副会長 など歴任。
- 平成5年には「カーテンウォールのオープンジョイントの実用化」で大成建設社長賞受賞。
本日のおすすめ「アルアルだらけのナイナイずくし」
防水工事の問題点はここにアッタ。
長年の防水に対する経験と調停員を3年務めた経験を元に、最近、裁判官や弁護士を対象に講演した。
最後に「雨漏りを防ぐには誰がリーダーシップをとるべきか?」
という質問があり即座に、「それは設計者です」と応えた。
その経緯や、そう答えてしまった理由を、サーツの機関誌「PSATS report」 VOL.29に次のように書いた。それが本日のおすすめのタイトルである。
(1)防水層がない!
その1: 斜線制限を受けた斜め屋根のほとんどがタイル張や塗 装状の仕上げだけ。
その2:地下外周壁の外側に防水層が無い。ブロックの2重壁によ る水漏れの目隠しで、住宅では健康を害し、業務用では湿気で用をな さず。
(2)防水をしたつもり! シーリング材の能力を過大評価。ALC建 築に目立つが、斜め屋根があろうものなら事態は最悪。
(3)沢山あるのは”みずみち”! コンクリートの亀裂、打ち継ぎ、 セパレーターまわりなど。そして全く無くなってしまったのが、良い コンクリートを打とうという心意気。
(4)足りないのが断熱層の厚さ! 現場発泡材に共通する問題。セパのボルトを残し、これを定規とし、厚さが1/3しかなかったのには絶句。
2006/10/23(月) 22:32:00|ひと|