聖書教会が販売するノアの方舟
聖書教会が販売するノアの方舟
ノアの方舟キットを眺めて防水4000年の歴史を考える。
ルカ先生連載に寄せてアンコール
これを眺めながらノアの方舟の防水仕様を、じっくり検討してみましょう。
神がノアに建造を命じた方舟の仕様はこんなものだった。ただし全長133メートルの方舟に対して、動物のスケールは違いますね。
方舟の大きさに関して、旧約聖書『創世記』は「長さ300アンマ、幅50 アンマ、高さ30アンマ」という。1アンマを約44.5cmで換算すると、およそ「長133.5m、幅22.2m、高13.3m」となる。
素材はゴフェルの木。方舟には1階と2階と3階を造り、小部屋を幾つも造り、内側にも外側にもアスファルトを塗る。明かりとりの位置は上から1アンマ。側面には戸口を造る。
聖書に書かれているのは、これだけ。この木製模型キットはイスラエル製で税別10,500円。古来ノアの方舟の画は、石油タンカー型から、3階建てアパート型まで様々なものが描かれている。(ROOF-NET「聖書と防水」参照)。「この模型は、誰のどんな説に準拠して造られたものか?」と、販売社に問い合わせたところ、聖書にはサイズと主な構造しか書かれていないから、ここから読み取る範囲で、何でもあり、ということである。この模型は中でも「舟っぽい」タイプだ。今のところ、どのスクール(宗派?) からもクレームはないそうだ。
甲板の上の居室がゴキブリホイホイそっくりなのがきになるが、まあがまんして、想像して見ましょう。
旧約聖書創世記には、「方舟の内側外側に、瀝青を塗りなさい」とある。
方舟の目的は40日の洪水の後、150日間水が引くまで、のちの世界の「種」となる生き物たちを生存させる大空間を提供することである。舟とはいっても、水上航行ではなく水面浮揚が主目的である。ただ浮くだけとはいえ多少の方向転換は必要だから、タライや弁当箱型という訳にはいかないだろう。ウィキペディアは、形状について、多くのカップルの生活空間を確保するため、舟は直方体に近い形状であった。また総容積は、40,000立方メートル近くにも達し、ほぼタイタニック号にも匹敵する排水量になる、と試算している。
今まで、「舟」に注目しすぎて、防水は舟底に施した、と思いこんでいたのではないか? 外側とは喫水、船体だけでなく、当然 壁、屋根が含まれておかしくない。何しろ神は40日40夜雨を降らせて洪水を起こしたのだ。神の命令で3階建ての大きな建物をつくり、内外側に塗るよう命令されているのだから、屋根壁に塗らないほうが不思議だ。
すると、防水材としてのアスファルトは「ノアの方舟の船体に利用された」ではなく、「ノアの方舟(浮かぶ家)の屋根と壁の防水に利用された」と言ってよい。
すなわち屋根壁の防水の起源はBC3000年のノアの方舟ということになる。
世界最古の叙事詩「ギルガメッシュ」に、旧約聖書のノアの洪水の原型が見られる。
ノアの洪水伝説に似た話は、古代中近東には多いそうだ。日本聖書協会発行の大型本・パノラマバイブルにはそんな事例が書かれている。中でも有名なのは古代アッシリアの遺跡から発見された「ギルガメッシュ叙事詩」。この中で、神・ウトナピシュテムは瀝青で舟を防水するよう命じている。
古代アッシリアの叙事詩に登場するアスファルト防水と溶解釜
「1万リットルのアスファルトを溶かし、方舟に塗れ」と知恵の神エアは命じている。
命じられたウトナピシュテムは「私は3シャル(1シャルは3,600リットル)の瀝青を溶炉に注ぎ、3シャルのアスファルトで方舟を張り巡らした。」と英雄ギルガメシュに答えている。
2012/04/14(土) 00:00:53|ARCHIVES|