第41回水コンペ その2 入賞作品より
第41回水コンペ その2 入賞作品より
「屋根葺祭」を読む
総合防水メーカーである日新工業(相臺公豊社長)が1974年から41年間にわたって主催するアイデアコンペ「日新工業建築設計競技」の表彰式が昨年11月20日、東京・日比谷の帝国ホテルで開催された。テーマは「アンダー・ワン・ルーフ」。登録数988件、応募総数364件。六鹿正治委員長ほか5人の審査委員が選んだのは西田・ヤン両氏の「砂漠の中の大きな屋根は刻々と変わりゆく」(一等)はじめ11点の作品。
1等は、新建築誌などの建築専門誌で紹介されている。ルーフネットが注目したのはこの2等作品だ。彼らが表現したのは
様々な人々の営みや集まりから、
街のお祭りのように屋根が立ち上がる風景を構想する
敷地は茅葺集落のそばにある建物群
既にある建築やこの街の材料、
職人の技術とともに手を加え葺き替えて行く
その時々の材料や一つ一つの行為や手入れが
重なってひとつになっていく
という情景である。彼らは、人々の営みに屋根をかけた。
2等の石橋慶久さんと水野貴之さん。
その狙いは?という質問に、次のように答えてくれた。
スリランカや中国などアジアを旅して実感をした、風通しのよい開放的な軸組みや人々が集まって建築を立ち上げている風景から着想を得たこと。
建築を「つくる」「手入れする」といった行為を通して、人やものが集まり、街のシンボルとして立ち上がる風景を構想したこと。
アイデアコンペではありながらも、実現させる仕組みを考えたこと。
以上、3点を大切にしました。
さらに下にはこんなスケールまで書き込まれている。
暦やスケールまで書き込んだことに対して、審査員は「描き過ぎ」と評したが、彼らは、それを予想した上で、あえて「アイデアコンペではありながらも、実現させる仕組みを考えた」として、書き込んだ。
実は、東京オリンピックの選手村を茅葺きで作る、という魅力的なアイデアを現実化しようとしている人がいる。ルーフネットとしては、その1つの参考事例としても、この作品を紹介したい。
審査員との記念写真。
2015/01/20(火) 00:00:00|屋根|