田中研究室のDNAを受け継ぐ、湯浅教授
東工大・小池、田中研究室のDNAを受け継ぐ、湯浅昇 日大教授
湯浅先生は田中享二研究室出身でした
日本大学生産工学部建築学科教授 湯浅 昇さん
コンクリート構造物を長く持たせる為には仕上げ材がその表面を保護する必要がある。
このほど日本建築学会に、改修工事運営委員会が設置され本橋健司教授が委員長になられた。建築学会の中で仕上げが大きな役割を果たすようになって来るだろう。
私は東京工業大学の小池、田中両先生の門下生である。小池先生・田中先生が守られてきた研究の中でコンクリートと仕上げ材との取り合わせ、保護、膨れ、はがれなどの問題を、これまで学んできた考え方で、推し進めてゆきたい。
先日、小池迪夫先生、田中享二先生に、「この分野は私が続けていいですね」と挨拶し、ご了解を得てきました。
(全アロン防水組合定時総会懇親会での挨拶より)
上の挨拶は、8月26日、大津市のプリンスホテルで全アロン防水組合の総会が開催され、懇親会での言葉でした。
湯浅さんは、北海道札幌市(小学校から高校までは新潟県新発田市)出身。東工大で小池、田中2人の先生から学んだ数少ない弟子のひとり。北大出身という意味からは田中先生直系といえるかもしれない。
専門は「コンクリート」。それをひとつの塊でみるのではなく、その内部と外では品質が異なるということから立脚し、強度、劣化を論じることに力を注ぐ。それを解きほぐすキーワードは「水」と「細孔構造」。これを言語化し、コンクリートの状態を論じることがテーマだ。細孔構造からコンクリート内部の圧縮強度分布を示した研究に対して、史上最年少?で、セメント協会論文賞を受賞している。
研究室自慢(紹介)御お願いします。
2011年度のテーマを挙げれば、下記のとおり。
RC造の物性・劣化研究:構造物の高強度・高耐久化を目指し、RC造の強度および中性化・塩害による鉄筋腐食、凍害・アルカリ骨材反応によるコンクリートの膨張劣化をセメント・コンクリートの材料、水和、養生、劣化環境から検証する。…ここで使うコンクリート中の含水率を測定する技術はたぶん(まず)世界一。
RC造の維持管理技術の開発:実RC造に適用可能な強度、劣化・耐久性等を評価する試験方法を開発、検証し、維持管理技術マニュアルを検討する。…非・微破壊技術はうちの研究室の十八番の一つ。
仕上塗材の劣化・RC造保護機能に関する研究:高分子系仕上塗材が鉄筋コンクリート造の保護材料として有効に働く期間は、その鉄筋コンクリート造の耐用年数に比し短いといえる。劣化過程の被覆材がRC造をどこまで保護できるかを検証する。…これまでの表層の研究に仕上材の効果・劣化を融合させるもので満を持して取り組みはじめる。
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各種仕上材のコンクリート中の水分に起因した不具合に関する研究:''コンクリートの含水率が高いことに起因して、壁材料にカビが生えたり、床材がはがれや膨れが生じることがある。フローイングでは反りの主原因となる。コンクリートの含水率とこれらの不具合の関係を検討する。…コンクリート中の水分起因の仕上材不具合は重要な課題。仕上の問題ではない。
各種建築材料の劣化に関する研究:煉瓦の経年変化、金属(釘、針金やサッシ、トタン)、高分子材料(塩ビ、プラスチック)、仕上塗材の火山性腐食ガス(三宅島(予定))に対する抵抗性、塩分に対する抵抗性、光に対する抵抗性を検討する。…三宅島の他、当研究室では北海道泊5大学共同暴露場、沖縄辺野喜琉大・日大共同暴露場、鹿児島県霧島九大・日大・琉大共同暴露場、日大津田沼暴露場を運用している。
なお、当研究室は、河合塾の研究室ランキング「建築材料・施工」部門で全国第4位にランキングされ、その設備・機器は同分野で最大級・最上級といわれている。
ついでに大学時代の話を。
とにかく飲んでいたなぁ。下宿は同級生・サークル仲間の溜まり場だった。2年生の時、さすがに大屋に追い出された。
「アウトドアゴーイングクラブ」と称したサークルで、キャンプやったり縦走したり、流氷をみたり。
浮き世もそれなりに…派手に、でも一途に流していたかなぁ。とにかくいい時代だった。
でも卒論はまじめでしたよ。とにかく吸収しようとした。
卒論タイトルは「屋根防水層のふくれに及ぼす下地コンクリートの影響に関する実験」。24時間とにかく頑張ったと自負している。そして、卒論の清書(まだ手書きの時代である)は、サークルの妹分5名の手によるものであることが今でも私の自慢である。
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