水路閣委員会終了 報告書
水路閣委員会終了 報告書
水路閣改修調査検討委員会 3回の委員会終え報告書作成へ
ひび割れは、この写真の左端
水路閣は琵琶湖疏水の疏水分線の一部で、全長93メートル、幅4メートル、水路幅2.4メートル、2基の橋台と13基の橋脚からなる水路橋であり、明治21 年に完成した。平成8年には国の史跡に指定されている。沿線各地での水力利用、田畑の用水、防火用水等を主目的として設けられた疏水分線の一部である水路閣は、南禅寺境内を東西に横断するため、意匠において美観上の配慮がされた。レンガと花崗岩で築かれたその姿は、工事中の当初から見物客が絶えず、現在においては、経年によって付近の歴史的な景観と調和している。
京都市上下水道局は、国の史跡に指定されている水路橋「水路閣」の西側橋脚の一部に生じたひび割れの発生原因及び修復の方法を調査・検討するため、学識経験者で構成する「水路閣改修調査検討委員会」を平成22年1月に設置し、これまで3回開催して議論を進めてきた。最終的には、調査によって得られた知見を基に、議論の内容を踏まえ、今後の対応策を報告書にとりまとめる。
なお、西側橋脚の一部に生じたひび割れについては、平成20年8月に緊急防護工事を実施した後、継続して状況を監視し、特に変化がないことを確認していると言う。
京都市上下水道局水路閣改修調査検討委員会委員
石田潤一 京都工芸繊維大学大学院工芸科学研究科教授 ・委員長
伊津野和行 立命館大学理工学部都市システム工学科教授
久保田善明 京都大学大学院工学研究科准教授
甲津功夫 大阪大学名誉教授
中嶋節子 京都大学大学院人間・環境学研究科准教授
深町加津枝 京都大学大学院地球環境学堂景観生態保全論分野准教授
◎ 京都府教育庁指導部文化財保護課(オブザーバー)
◎ 京都市文化市民局文化芸術都市推進室文化財保護課(オブザーバー)
◎ 財団法人 建築研究協会(疏水水路閣調査委託
第3回検討会資料より
http://www.city.kyoto.lg.jp/suido/cmsfiles/contents/0000078/78845/dai3kaisiryou.pdf
京都市上下水道局水路閣改修調査検討委員会委員は6月17日午後3時から4時半まで、京都市国際交流会館で、第3回目の会合を開いた。
この結果ひび割れの原因については、次の所見を出したうえで、今後の対策に対して提言している。
西側橋脚部のひび割れの原因として、山からの土圧及び樹木の根の浸食である可能性が考えられた。構造解析の結果、土圧だけでは今回のひび割れが発生したとは考えられないため、何らかの外力が加わった可能性が疑われる。
西側橋脚に水平方向の変位を与えるような何らかの外力が加わったためにひび割れが発生したと考えられる。
外力が生じる原因として地盤の変動が考えられるが、水路閣建設後に地面の整地が行われているため、地盤調査の結果からは正確な地盤変動は確認できなかった。
また、樹木調査の結果、現状では水路閣に圧力を加えるような樹木の根は確認されなかった。しかし、台風等による倒木のため水路閣が破損する可能性も高く、伐採等の樹木管理が必要である。
2011/08/16(火) 08:35:23|歴史的建物を守る|