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木の皮や草がありなら「紙」でもいいんじゃないの?

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「紙葺きの家」が「水コンペ」で2等賞

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― 微細な水の現象を映し出す紙の家 ―
川又修平さんの2等作品(一部)
(図をクリックすると拡大します)

総合防水メーカー・日新工業が主催する「水コンペ」で明治大学の川又修平さん(21歳)の作品「紙葺きの家」が2等賞を獲得した。

古来日本の屋根は、身近な自然素材で葺かれてきた。茅や葦、稲わら、桧皮、杉皮、杮…。地域に依っては笹葺きの屋根もある。でもさすがに「紙葺き」は想像できませんでした。

40回を数える水コンペの今年のテーマは「水の家」。この課題を前に、川又修平さんは「現代の住宅では、水と親和性のある材料は基本的に使われない」と言うところからアイデアを膨らませていったという。

なぜ使わないのか?使ったらどうなるのか?

1枚では弱い紙を何層にも張り合わせることによって、一定の耐久性を確保する。人間では感じ取れない微細な水の動きを、紙が媒介することによって、その姿を見ることができる」。川又さんは「水の家」と言うテーマをストレートにとらえ、紙を媒介とし、「日常に密かに存在する水」を人に伝える家を提案した。

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紙葺きは骨組みに対して薄い紙を何枚も重ねることにより屋根と壁をつくる。

紙葺きは時間の経過とともに、破れたり、植物が生えたり、色が変わったりする。また住人によって窓や出入口、庇が作られ、カスタマイズされてゆく。それに加えて紙葺きは、一定期間ごとに新しく葺き直すので、住人が家に対して手を入れ続け、使いこなしていく状態が生まれる。

画像の説明
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このコンペの魅力は賞金だけではない。日本を代表するトップアーキテクトの審査員から、率直な講評を得るだけでなく、質問もできることだ。作品「紙葺きの家」に対する講評を紹介する。

長谷川豪氏

長谷川豪氏講評
僕は最初の段階からこの作品はいいなと思ってみていた。
紙がウェットティシュのように紙が水分を含んでいる状態から始まっているのがいい。
カビだらけ、しみだらけになるのだろうけど、それは置いておいて、頼りない家が新鮮だ。ただ構造面では木造軸組に紙を貼っているだけだから、これはテントに過ぎない。
構造までインテグレートして考えられれば、もっと形や作り方に根拠ができただろうし、深みのあるプロジェクトになったと思う。

乾久美子氏講評
最も水の嫌なところまで見ていた。時に気持ち悪い、うっとうしい、カビが生えるといったところまで想像力を働かせていたのが同類の案を超えている。紙という媒体に水が作用するのと同時に、右下(パネルの)あるように、人間もその紙に対して作用する要素であるという視点が面白い。紙を媒体にいろんな人がかかわっていくという、水を中心に世の中の物事が凝縮されていくというイメージが良かった。
やはり構造が良くないと思う。紙に水が浸透する構造を提案できれば抜群に良かっただろう。

乾 山梨DSC05709

山梨和彦氏講評
僕これすごく好きだったので、一言わせて下さい。これを見て、僕の先輩の林 昌二との問答を思い出した。若い時僕が「紙は湿けて気持ち悪い」と言ったら「あなた頭悪いですねえ、紙が湿けてこんなに柔らかくなるって素晴らしいことじゃないですか。一見悪いように見えるものの中に別の側面が見えなければ建築家になれません」と言われたのです。
みんなカビを嫌がっているけど、日本は味噌や醤油はかびにつながるアミノ酸文化である。非難を浴びている構造でも、この作品は紙と骨組みでできた凧と同じだ。思索的だし、完成したものじゃなくて、シュリンクしたり、カビが生えたり。一見ポエティックだけれど、現代的示唆に富んだいい作品だと思う、僕は1等に押していた。

審査員は以下の各氏(敬称略順不同)

長谷川豪(メンドリジオ建築アカデミー客員教授、長谷川豪建築設計事務所代表)、 北山 恒(横浜国立大学大学院Y-GSA教授、architecture WORKSHOP主宰)、六鹿正治審査委員長(日本設計代表取締役社長)、 山梨知彦(日建設計執行役員設計部門代表)、 乾久美子(東京藝術大学准教授、乾久美子建築設計事務所主宰)。

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川又さんになぜ「紙葺き」なのか聞きました。

今回のテーマに対して、最初に断面図を書きました。僕は構法の研究室に属していますので、どうやったらこの建物が実際に成り立つのか考えました。
ライフサイクルの中に建物そのものが組み込まれたら魅力的だなあとずっと思っていました。日本の古建築の茅や杮(こけら)、瓦などと同じように自然素材である「紙」を使って「紙葺き」にすれば実現できるかもしれないと思いました。

2013/11/24(日) 02:38:13|ニュース|

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