日中韓協力の意義
日中韓協力の意義
日本の実情に合う国際規格制定に力
日本シーリング材工業会 杉山氏が防水シンポで発言
「欧米中心ではグローバルとは言えない。アジアの実情を反映してこそ真のグローバルであり、日中韓3国の防水業界が協力して発言力を高め、使えるISOを作ろう。そのためにこの日中韓防水シンポによる信頼・協力関係は心強い」。
早稲田大学で行われた第4回 日中韓 防水シンポジウム の初日前半、各国の状況報告を終えた後のディスカッションで、中国からの質問に応えて、日本シーリング材工業会 杉山氏が、このように答えた。
第4回 日中韓 防水シンポジウム が開催された。早稲田大学輿石直幸教授の開会挨拶の後、午前中に日中韓各国の防水事情が報告された。午後から翌日正午まで22件の研究論文発表が行われ、初日の18時30分より、新宿区戸塚町のリーガロイヤルホテルで開催された懇親会には多くの参加者が集まった。
初日午前中の「防水品質確保のための活動」に関して各国の発表テーマはつぎのとおり。
- 日本におけるメンブレン防水材料規格および標準仕様制定・改定の経緯
»中澤 裕二 - 建築用シーリング材の国際規格推進のための取り組み
»杉山 重樹 - 日本における防水施工技術面での活動:教本「防水施工法」の活用
»野口 修・千葉 清 - 中国におけるメンブレン防水工事の品質制御および問題点
»張 文華 - 中国における建築用シーリング材の生産及び応用の現状
»朱 徳明 - 韓国の環境適応型メンブレン防水適正工法選定のための品質評価方法案
»呉 祥根 - 韓国におけるシーリング防水技術の現状と今後の展望
»宮内 博之
7件の報告の後、司会の呉 祥根氏が「午前中3国の実情が報告された、これらを踏まえて今後の課題、協力の方向性などに関し話し合いたい」呼びかけた。これに応えて中国の楊 楊教授が「シーリングに関して、ISOでの日本の活躍の様子が杉山さんの話で分かった。中国、韓国も参画はしているが不十分な事は分かっている。今後どんな役割を果たすべきか、具体的な意見があれば 是非言って欲しい。先程中国の状況は朱 徳明が発表した。彼が、その意見を中国に持ち帰り伝え、貢献して行きたい」と述べた。
杉山氏のはなし。
「日本の場合、JISのISO化が避けられない状況であったため、国際会議に参加せざるを得なかったというのが実情。出てみて分かったのは、欧米中心の規格であること。彼らの感覚では、例えば「湿度が高いときは、温度が低いとき」。我々東アジアでは、湿度が高いということは温度も高い。温度も湿度も高いというのはシーリング材にとっては過酷な使用条件である。今アジアで積極的に参加しているのは日本だけ。中国はドイツ、イギリスの後を受けて3年前から事務局を引き受けてくれるようになった。韓国もPメンバーである。規格を欧米中心ではなく、グローバルな方向にして行くには、アジア特に高温多湿で苦しんでいる国の意見は重要だ。それぞれの国の知見を盛り込んでゆくには、日本だけでは発言力が足りない。韓国中国が、それぞれ自分たちの経験を元に、 自分達は今、こんなところで苦しんでいる、と伝え、こういう規格が欲しい、こういう事を考えないといけないよ、ということを一緒に情報発信してくれると、大変心強い。
東アジアの仲間として、高温多湿の環境下でシーリング防水に苦しんでいる立場からISOを本当にグローバルにして、我々が「使える」物にしていきたい。
2013/12/01(日) 12:50:48|ニュース|