掘り起こし 中銀カプセルタワービル①(「施工と管理」より)
掘り起こし 中銀カプセルタワービル①(「施工と管理」より)
140個のメタルカプセルが2本のシャフトにしがみつく。
中銀カプセルタワービルは昭和47年(1972年)竣工。黒川紀章の初期の代表作で、当時世界的に話題になった「メタボリズム建築運動」の世界初の実用建築、という点で建築関係者には有名であり、そのユニークな形状で若者を引き付けてやみません。また「外国人観光客が見たい日本の現代建築」ナンバーワンでもあります。
しかし「建築再生展」の主催者が注目したのは、このことに加えて、今カプセルタワービルの中で起こっていること、のようです。雨漏りがして、給湯もできないビルにどうしてそこまで、住みたがるのか。不可能と言われた修繕やメンテナンスを、何とか実現しようとするエネルギーはどこから生まれるのか。
黒川紀章は「メタボリズム」の中に「セルフエイド」という概念を忍ばせ(組み込み)ました。そして「我々が追球したいのは、住民の参加、住民のセルフエイドシステムを刺激する原理として成長し、変化する建築である」と言いました。この言葉は「住み手がその建築に住むことによって、自らの住まい方を自問自答し、延いては改修のあり方まで真剣に考えてしまう建築」と読み替えていいのだと思います。
「住まいとは何か、家とは何か、住み続けることの難しさ、建築部材や構成要素は単に長持ちすればよいのか、循環あるいは容易に交換できることの方が良いのか」。我々は通常のマンションでは起こりえない、様々なトラブルと向き合う中で、知恵を絞り、苦労を楽しみ、仲間の住人と緩く、時に深く関わり助け合っています。(黒川紀章の予見を超えた新しいコミュニティーの胎動を、ここに見る人がいるのかもしれません。)
中銀カプセルタワーの人気は、国内・海外と問わず益々高まっています12月12日防水研究者といっしょに、最近の様子を、保存活動の代表前田さんに、お聞き書ました。その報告の前に、問い合わせの多い2編の記事を再掲載します。
月刊「リフォーム」2016年10月号から、保存か建て替えかで紛糾する世界的に著名な中銀カプセルタワービルについて7回の連載しました。その内容は以下でご覧いただけます。
>>保存か建て替えか 中銀カプセルタワービル
http://www.roof-net.jp/index.php?cmd=read&page=%E4%BF%9D%E5%AD%98%E3%81%8B%E5%BB%BA%E3%81%A6%E6%9B%BF%E3%81%88%E3%81%8B%20%E4%B8%AD%E9%8A%80%E3%82%AB%E3%83%97%E3%82%BB%E3%83%AB%E3%82%BF%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%83%93%E3%83%AB&word=%E4%B8%AD%E9%8A%80%E3%82%AB%E3%83%97%E3%82%BB%E3%83%AB
但し、これの関連記事として、書いた2本の原稿が、大変検索しにくい状態です。そこで、再掲載の上、上記「保存か建て替えか中銀カプセルタワービル」棚の末尾に加えたいと思います。
一本目がこれです。
ルーフネット348号参照。
2018/12/15(土)00:46:43|歴史的建物を守る|