戸建住宅の地下防水の評価は?
戸建住宅の地下防水の評価は?
地下防水工法の信頼性は?
建築学会の建築紛争フォーラムで。会場からの質問に対して、地下室について多くの実績と経験を持つ都市建築設計事務所デザインタンク山中誠一郎氏が答える。
主 催:日本建築学会 司法支援建築会議運営委員会
日 時:平成23年9月2日(金)13:30~17:10
会 場:建築会館ホール(東京都港区芝5-26-20)
プログラム:
司会 宇於崎勝也(日本大学)
副司会 角陸純一(清水建設)・宮内靖昌(竹中工務店)
記録 飯田恭一(オフィスK)・丸山一男(㈱アミック)
1.開会挨拶
小野徹郎 (司法支援建築会議運営委員会委員長/椙山女学園大学)
2.主旨説明
柿﨑正義(普及・交流部会長/㈱クォリティー)
3.基調講演「戸建住宅を巡る建築紛争-紛争解決に向けて、さらに予防へ」
伊藤 繁(東京地方裁判所民事22部裁判官)
4.主題解説「戸建住宅を巡る建築紛争に対して-地下室を持つ戸建住宅を例として」
4-1 設計・監理の側面から
鈴木義昭(住宅保証機構)
4-2 施工の側面から
山中誠一郎(都市建築設計事務所)
4-3 法律の側面から
大森文彦(大森法律事務所)
日本建築学会司法支援建築会議が行った、建築紛争フォーラムの今回のテーマは「戸建住宅」。その土地固有の戸建住宅を巡る課題に焦点を当てた講演会を行った。
基調講演として、東京地方裁判所の裁判官が「戸建住宅を巡る建築紛争-紛争解決に向けて、さらに予防へ-」について講演した。東京地方裁判所には建築専門部として民事22部があり、関東地方の建築を巡る訴訟が集まる傾向にある。また、司法支援建築会議会員も関東地方に多く在住していることから、地方都市での鑑定人、調停委員として推薦されることもあり、東京地方裁判所には建築紛争の情報が集積している。そこでの経験、状況を踏まえて講演した。
続いて、主題解説として戸建住宅を建設するときに発生する紛争について、紛争解決に向けての方法のみならず紛争を予防するためにどうすればよいかを、数多くの紛争において鑑定や調停に携った経験をもとに、法律家と建築技術者から話題提供をした。内容は、最近の話題として既存建物に隣接して「地下室を持つ戸建住宅」の建設に関わる事例を取りあげ解説。その後、会場からの11件の質問、意見に対して、総合討論によって戸建住宅に関する紛争解決の議論した。
山中氏が主題解説で提示した地下特有の問題。
会場の質問から
Q/ルーフネット:
地下室の防水に関して現在の防水工法・材料は信頼に足るものであるか?
A/山中氏:
昔に比べれば、防水の信頼性はるかに上がっていると思う。
ただし全ての建築材料には寿命がある。当然防水も然り。
たとえば地下外防水にアスファルト防水を採用したとして、防水メーカーは10年しか保証しないだろう。
我々設計者が、地下を設計する時構造体として鉄筋コンクリーを使うのであれば、「ヒビが入って当然」というスタンスで設計する。
だからこそ2重壁にして①入ってきた水をどうして逃がしてやるか、②居住空間に入れないで済ませるか。もう一つ、③結露を起こさせないか。もし結露した場合その水をどこに逃がしてやるかが問題。
諸先輩の事例を見るにつけ、地下で湧水、水漏れの起きない躯体はないと思う。(コンクリートだけでは)当然漏水する、という想定で、いろんな(防水)材料を使ってゆく。
現在市販されている防水材料は、かなり信頼性の高いものがある。
Q/ルーフネット:
近年地下水位が上がっているが、防水上の留意点は何か?
A/山中氏:
現在、大体、上水位がGLマイナス1メーター程度だ。
1メートル掘ればすぐ水が出る状態である。
矢板などで水を止めながら工事し、そして地下水位が高いところでは、当然湧水があるという前提で、地下ピットを設けたり、排水ポンプの容量を大きくしたり、2台設置して交互運転などの対策が欠かせない。
2011/09/10(土) 08:47:58|ニュース|