屋根瓦を照らす歌舞伎座の「月明かり照明」
屋根瓦を照らす歌舞伎座の「月明かり照明」
歌舞伎座に似合う白とは
J-WAVE(FMラジオ)で照明デザイナーがHIDDEN STORYトーク
「日本の建築はとても屋根に特徴がある。でも、ほとんどの建物って屋根は暗くなってしまう。今回の歌舞伎座は、屋根瓦も月明かりのような明かりで照らされている。これも大きなポイントだと思っている」と、石井幹子さんが話していました。
4月5日金曜夜、首都圏のFMラジオ J-wave のHidden Storyシリーズで、新開場した歌舞伎座のライトアップにまつわる話を、ゲストの照明デザイナー石井幹子・石井リーサ明理 親子に尋ねていました。
東京に活動ベースを置く、母幹子さんとフランス、パリと東京で活躍する娘、明理さん。
歌舞伎座の白
石井リーサ明理さん(以下、明理・幹子):最初もっといろんな案を考えていて、最終的に今の真っ白いライトアップに……。初めはせっかくだから華やかに「わっ」と、カラーで照明しようという案もあったのですが、設計の隈研吾さんが「日本の建築の白壁というのはすごく大事なので、中に入れば華やかなシーンがたくさんあるけれど、外は白のままが良いかな」というお話はいただきました。
幹子:結果的に、松竹さんも「表には色は使わないようにしたい」というご希望がありました。
明理:そこで「いかに綺麗な白を探すか」に、プロジェクトの方向が集中していきました。
屋根だけに光を当てる
幹子:後ろの歌舞伎座タワーの屋上に近い部分、地上から130メートルのところから、屋根瓦に向けて「月明かり照明」というのをやっているのです。
そんな距離をLEDを使って、これは本当に「光を束ねて、細い光にして、屋根瓦を照らす」という、そういう演出を取ったのですが、日本の建築はとても屋根に特徴がある。でも、ほとんどの建物って屋根は暗くなっちゃう。でも、今回の歌舞伎座は、屋根瓦も月明かりのような明かりで照らされている。これも大きなポイントだと思っています。
明理:上から「バーッ」と当てると、まわりも眩しくなってしまいがちなのですが、特殊な配光制御といいますか、光が必要なところにだけ当たるような、それ以外にはもれないような設計にすることで、屋根だけに光を当てるということに成功しています。
2013/04/06(土)11:10:49|屋根|