「道路橋の維持管理・防水に大きな役割と期待」
「道路橋の維持管理・防水に大きな役割と期待」
国内の社会インフラは新設から維持更新の時代に入っている。特に道路橋床版は、走行車両の輪荷重疲労に材料の経年劣化もあいまって損傷が顕在化しており、各道路管理者や自治体等で、適切な維持管理計画の策定が急務となってきている。要するに「過積載のトラックがこれ程たくさん走るとは予想していなかったから、橋が危ない」というわけだ。
そこで日本土木学会鋼構造委員会では平成20年に「道路橋床版の維持管理に関する評価検討小委員会(委員長:大田孝二)」を組織し、3年間の活動成果として「道路橋床版の維持管理マニュアル」および「道路橋床版防水システムガイドライン」を取りまとめた。
そして2012年6月21日(木)・22日(金)土木学会講堂で、第7回床版シンポを開催、ガイドラインを概説するとともに、道路橋床版の維持管理に関わる一般講演論文の発表も行った。
ここでは6月22日に行われた「道路橋床版防水システムガイドライン(案)」の解説の様子を紹介しましょう。
ガイドライン作成の背景としては
- 床版の劣化には水の影響が大きことが明らかになった。
- 日本の床版防水は期待どおりの性能を発揮していない例がある。
- より耐久性の高い床版防水が必要となった。
- 防水の先進地(ルーフネット編集部注:これは床版防水の先進地と解釈すべきであろう)である欧州の技術情報を入手した。
- 日本の技術を整理し、欧州の技術を踏まえて、日本の気候や使用状況に適合する防水システムのあるべき姿を示したい。
という意図があった。
「日本・欧州における床版防水の経験空見えて来たこと」として
- 床版防水は防水層のみによって成し遂げられることはできず、床版、防水層、舗装、排水設備を適切に組み合わせた「床版防水システム」によって初めて達成できる。
- 設計だけでなく、施工が非常に重要である。
- 設計・施工を示すガイドラインが必要である。
一般的な床版防水システムの構成(道路橋床版防水システムガイドライン(案)より)
当日の発表は次のとおり(敬称略)
「道路橋床版防水システムガイドライン(案)
- 司会:奥田和男(三菱樹脂)
- ガイドラインの概要と床版防水システムの役割
- 緒方紀夫(中日本ハイウェイ・エンジニアリング東京)
- 床版防水システムの要求性能と性能照査、設計
- 上阪康雄(コサカ設計・アソシエーツ)
- 床版防水システムの施工
- 小関裕二(大林道路)
- 既設床版の床版防水システム、床版防水システムの維持管理
- 松井隆行(西日本高速道路)
防水システム・塩害・凍害
- 司会:小関(大林道路)・谷倉(施工技術総合研究所)
- 凍結防止剤による塩害損傷を受けた床版橋の狭隘部へ適用する電気防食法の開発
- 早坂洋平、竹内文幸、伊藤嘉修、山本誠、峰松敏和
- 鋼コンクリート合成床版の高強度膨張コンクリートと防水層に関する検討
- 段下義典、橘吉宏、北野勇一、堀池一男、大友直之、小林学
- 積雪寒冷地における床版防水の性能低下要因に関する一考察
- 澤松俊寿、三田村浩、西弘明、松井繁之
- 曲面状埋設型枠を用いた床版の施工(塩害に対する検討)
- 北野勇一、吉松秀和、西條龍、橘吉宏
- 凍害劣化した床版補修工法の耐疲労特性に関する実験的研究
- 表真也、三田村浩、赤代恵司、松井繁之
- 保全における床版防水の課題と措置
- 宮永憲一、松井隆行、後藤昭彦、青木圭一
道路橋超寿命化達成の武器として防水システム活用。
2012/07/17(火)08:00:07|躯体保護と混凝土|