「今の防水業界がこれでいいのか」「いい仕事をすること、社会的貢献をすることと、防水工事で利益をあげることは両立すべきだ」と考えるあなたに!

2011年 8月22日 号(№60)

2011年 8月22日 号(№60) 画像の説明

2011年 葉月はづき 平成23年、昭和86年、大正100年、明治144年

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初公開!防水・石油業界の歴史を語る幻の作品

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「小堀鞆音 没後80年」展
平成23年10月1日(土) ~11月13日(日)
佐野市立吉澤記念美術館
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「コルビジェの船と建築対談」仕切り直しで9月17日横浜で開催

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3.11大震災の翌日に予定されていた、「コルビジェの船」対談定員オーバーだった企画が9月17日開催

横浜の日本郵船歴史博物館当館が今春開催した企画展「船→建築 ル・コルビュジエがめざしたもの」(2010/12~2011/4)を踏まえて、「船・建築・未来」という三つのキーワードをもとに対談が行われます。>>続きを読む

住宅の不具合と紛争処理の状況

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屋根・外壁からの雨漏りと ひび割れ相談が上位3項目
住宅リフォーム・紛争処理支援センターはこのほど、2010年度の相談と処理状況をまとめ、「2011 CHORD REPORT」としてまとめ、ホームページ上で公開した。>>続きを読む

絵日記

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2011/07/19 屋上緑化の根の力
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ルーフネットが伝えたいこの人の言葉 ②

ルーフネットが伝えたいこの人の言葉 鶴田 裕さん

鶴田裕(つるた ゆたか)氏
防水をライフワークとする元大成建設の防水・仕上材料研究室長。停年退職後、防水メーカーに6年間勤務したあと、NPO建築技術支援協会(略称PSATS・サーツ)で技術アドバイザーとして、防水担当。平成15年から東京地方裁判所の防水・漏水訴訟の調停員を務めている。NPO匠リニューアル技術支援協会理事。

鶴田 裕 
NPO匠リニューアル技術支援協会10周年記念講演

約30年前、中小超大手にかかわらず、ゼネコンの最大の問題点は漏水・雨漏りだった。BCS(建築業協会)に「防水研究委員会」が出来た頃で、一番「切ない」時だった(鶴田氏)。各ゼネコン研究所も防水を最重点課題として、対策に全力投球した。会社の枠を超えた防水研究者同士の繋がりは強く、設計者、メーカー、工事店を巻き込んで、防水材料・技術の発展に大きく貢献した。鶴田さんはそうした防水研究者の中心メンバーの一人。(編集長記)

今回紹介するのは、まさに防水との闘い最中の記録。サーツPSATS建築技術支援協会の会報49号の特集「我々はこのように建物を造ってきた」に掲載されたものを許可をいただき転載します。

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1.建設省耐久性総プロ「外装材の補修・改修技術の開発」
2.外壁カーテンウォールのオープンジョイント
3.今思うこと・防水材料メーカーでのこと
4.今思うこと・裁判所の民事調停委員の経験

※ ※ ※

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写真上:
昭和31年年賀状クモハ42001 伊東駅



写真下:
平成18年年賀状F5857 東京駅(この年は明治39年・1906年の鉄道国有法施行100年で、東海道全線電化50年。この東京駅を出るつばめを撮った時は大学3年でした。 コダクローム)



編集部注:
今回の鶴田さんの年賀状は国内の鉄道写真にしてみました。記者も大好きなゴーハチ(下)を選んだのですが、この撮影ポイントはちょっとフシギですね)

鶴田教室②

急に多様化した防水構法との闘い(後編)

鶴田 裕

建設省耐久性総プロ 外装材の補修・改修技術の開発

昭和55年度から5年間にわたり、建設省による建築物の耐久性向上技術の開発研究が行われた。建築物のストック増加を背景に、構造部材、非構造部材、設備等の劣化診断、維持保全、耐久設計、施工管理等の指針を取りまとめ、建物の所期の性能を長期間保てるよう保全技術の向上を期したプロジェクトである。仕上げ材については建築耐久性部会の非構造分科会が担当し、うち屋根防水、シーリング、葺き屋根を防水グループが担当したが、またまた年回りゆえにグループ主査を仰せつかってしまった。*6 *7 その研究成果普及のために建設省官民共同研究の一環として昭和61年度からさらに2年間にわたり、外装改修技術開発推進委員会(㈶日本建築センター&建築保全センター)により、実務に役立つ指針が出された。*8

外壁カーテンウォールのオープンジョイント

ここまでの記述は公的機関でのことばかりであるが、確かに諸委員会、研究委員会活動により、建築物の防水技術並びに耐久性向上の重要性が強く認識されるようになった。私の本来業務への反映としては、外壁カーテンウォールパネルジョイントシーリング材の長寿命化である。初期に建設された超高層建築におけるシーリングの改修時期が予想外に早いので、ストックが増えた時のことが気になっていた。新宿センタービル(昭和54年竣工)建設時に設計図を見るとカーテンウォールパネルの水平断面形状が“く”の字型になっており、くの字の上下の部が柱から数10㎝外側に突き出たところで固定されていることが分かった。在来工法では外壁の外部側からシーリング工事をしているが、この場合は柱~パネル間に人が入れる隙間があるので、シーリングの寿命が来たときに内部側から改修施工ができる。さらに高層部でも通常の降雨ではシーリング部に雨は当たらず、日照も無いのでシーリングの劣化速度は急速に遅くなる。ガラスメーカーの大型試験装置を借りて確認できたので、いわゆるオープンジョイントの採用が決定した。*9後で耳にしたことであるが、私が出席できない施主~設計~ゼネコンによる最高決議機関で、「技術研究所の奴のいうことだから、とにかく聞き入れてやろう。しかし、竣工後何かあった時には、外部側から補修できるようなジョイント断面形状にはしておけ」との指示が実務レベルの工事係にあったとか。今、当時のシーリング専門工事業者に聞いてみると、不満そうな顔つきで、「補修、改修は何もないですよ」とのこと。超高層建物のシーリング改修工事費は億単位になるので、私のゼネコン在職時の給料は十分お返しできていると思う。

今思うこと

(1)防水材料メーカーでのこと

第2の人生として、平成7年1月から乞われて大手の塗膜防水メーカーに入った。思い返してみるとゼネコン時代の実務の打ち合わせの多くはは現場へ出向いて支援をすることで、時々設計事務所や施主へ出かけることもあり、本能でお金を払っていただける方へ顔を向けていた。しかしメーカーの立場になると直接の収入源は防水工事業者であるが、ここだけを相手にして営業活動をしていると、「そんな名前の防水材は知らないな」と言うゼネコン、設計者、あるいは施主の一言で、今までの活動は水の泡に帰してしまう。現場に納品しても、屋上で梱包を解き、缶を開けて初めて契約成立という経験もした。表現が悪いかもしれないが、その辺にいる野良犬でも大切な顧客になり得るといつも思って全方位営業活動が大切ということを知らされた。防水の大切さを可能な限り設計者へアピールしたが、どうも他人任せでよいと考える人が多く反応はいまいちだった。

(2)裁判所の民事調停委員の経験

第2の人生になったばかりのころ、建築の瑕疵訴訟時に建築技術者を民事調停委員に任命し、技術者の経験を活用しようという制度が発足した。前述の材料メーカーに移籍したころだったので、「原告被告の双方から不公平感を持たれませんか」を表向きの理由にして推薦を断った。第2の人生を終えた途端、再び打診され、防水のことならわかりますと回答して、辞令を受けた。サーツ会報の民事調停委員勤めて」という特集号*10で報告したが、この3月35件で調停委員としての任期を終えた。私は調停委員会の席で少々の時間を貰って、その問題の原因のほかに、建設時の社会的な背景、あるいは防水技術の動向などを述べることにしていた。トラブルを通してみて一言で言うと言うと、“防水”が建築を作る側で真剣に調査や検討されておらず、建築の上流、つまり設計に近づくほど他人事、人任せになっていることが多い。設計部門も持つある大手不動産業者が絡んだ事件の時、「このような監理をしていると再発しますよ」と述べた時、その会社の代理人、つまり弁護士が「今迄その会社のこの種のトラブルを担当していたが、私のコメントは大変役立った。会社に戻って上層部に報告します」との謝辞を頂戴したが、同席していた直接の建築関係者は不満顔だった。いつになってもこの種の事故は減少しないように思われる。過日学会で開催された報告会で、訴訟が減少傾向にあると聞いたときは良かったなと思ったが、次の「最近新築件数が減っているものですから」にがっかりした。4月からしばらくは地裁専門委員としての協力が続くことになっている。

※ ※ ※

防水の信頼性向上について、丁度材料が大きく変わっていた時に遭遇し、公的な規格や試験方法の標準化、施工仕様の作成さらには防水層の納まり提案などに関わり、普及を期待していたが、防水材メーカー,雨漏り・水漏れ訴訟に立ち会ってみると、新入社員時代と大きく変わっていないような気がしている。過日、ゼネコン時代の後輩に会ったときの質問に、「できれば40歳代に戻り、第2の人生や第3の人生経験を生かしたい」と答えてしまった。私は、耐震、耐火そして防水=耐久性が並ぶと思っていたが、道遠しの感が強い。


「PSATS report」Vol.49 2011.7 より


*6 建設省総プロ 建築物の耐久性向上技術の開発報告書 建設省 1985.3 
*7 建築防水の耐久性向上技術 ㈶国土開発技術研究センター 1987.4
*8 屋根防水の補修・改修技術 ㈶日本建築センター&㈶建築保全センター1993.2
*9 外壁カーテンウォールのオープンジョイント 鶴田 裕 建築技術2002.4
*10 PSATS Vol.29 SUMMER 会誌 2006.6

2011/08/14(日) 14:44:24|ひと|


「BOUSUIデジタルアーカイブ」防水歴史図書館

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我が国の防水の歴史を考察する上でどうしても欠かすことのできない文献が何冊かあります。
防水歴史図書館(BOUSUIデジタルアーカイブ)では、そんな文献を1冊ずつ選び、本が書かれた当時の様子、おもな内容、その本のどこが「すごい」のか、現在生きる人たちにとって、どんな価値があるのか、それぞれの資料を担当するキュレーターが、時には執筆関係者への取材を交えて、分かりやすく解説します。

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